じいさん | どこ吹く風まかせ

どこ吹く風まかせ

週に一回とにかく俺のことを書きます

借りている駐車場の道を挟んだ敷地で建築工事をしている。

マンションが建つそうだ。

昼間多少騒音はあるが、まあ特に関係なく生活している。

 

ただ住宅街の細い道に大型車が行き来するので

交通誘導のおっさんが常に立っている。

いやたぶんじいさんだな。じいさんが立っている。

俺が駐車場に向かおうと歩いているとそのじいさんが

「ご迷惑おかけします」と頭を下げてくる。

横柄な態度はとりたくないのでこちらも頭を下げるが

毎度毎度通るたびに言ってくるので恐縮してしまう。

そんな日が続いていた。

 

先日駐車場に向かっているとじいさんが

「いってらっしゃい」と声をかけてきた。

そして帰ってきたときに「おかえりなさい」と言ってきた。

これはもう完全に顔と車を覚えられた。

いや、覚えられたからといって困ることはない。

こちらは公正明大に堂々と人目につかずに生きている。

じいさんも良かれと思って言ってくれている。

わかる。わかっている。

 

でも覚えられた。

あいつ車で出ていったと思ったらすぐ帰ってきたな。

なにをしにいったんだろかとか思われてないだろうか。

見るたびラフな格好だがちゃんと仕事してるんだろうかとか

思われてないだろうか。

たぶんじいさんはそんなこと思ってない。気にもしていない。

でも駐車場に向かうたび、じいさんを見かけるたび

俺にはそう思われない態度と心構えが必要だ。

 

こんなことがマンションが建つまで続くのだろうか。

これはなかなか大変だ。