大規模災害に備えた防災・減災対策について(平成28年第2回定例会・一般質問3/3) | 旭川市議会議員 穴田貴洋(あなだたかひろ)公式ブログ 「祖国日本と郷土旭川のために」Powered by Ameba

大規模災害に備えた防災・減災対策について(平成28年第2回定例会・一般質問3/3)

6月8日に一般質問を行いました。今回は、
生活保護費のギャンブル浪費について、②いわゆる「教科書贈収賄事件」について、③大規模災害に備えた防災・減災対策について、質問いたしました。ご報告いたします。

③大規模災害に備えた防災・減災対策について
1.地震について
質問1(穴田貴洋)
 熊本で震度6以上の地震が相次ぎ、家屋の倒壊で大きな被害となった。今回と同程度の揺れで倒壊する恐れのある住宅は、道内で37万1千戸以上に上るという。
 古い建築基準で建てられた住宅の耐震補強に対する自治体の「補助金制度創設」が、平成18年以降に本格化したが、平成27年迄に道内で補助を受けたのはわずか96戸であった。改修の必要がありながら改修されない「住宅の耐震化率向上」にどう取り組むのか。

答弁1(防災安全部長)
 本市では、平成20年に旭川市耐震改修促進計画を策定し、耐震化の促進を図るための取組みを実施しているが、具体的な取組としては、第1に地震に対する住民意識の向上を図ることが必要である。
 建物所有者が地震防災対策を自らの生命と財産の保全につながることを認識するために、市のホームページを活用した啓発資料や地震防災マップの公表、更には、各種防災講習において、耐震化住宅の必要性を周知している。
 また、第2として耐震化を促進するための環境整備として、相談窓口での情報提供、耐震診断費や改修費の支援策を実施している。
 いずれにしても、熊本で発生した状況を踏まえ、本市においても同様の地震が発生しうるという観点から、市民の関心を充実させ、万全を図りたいと考えている。



2.土砂災害・河川氾濫について
質問2(穴田貴洋)
 中央防災会議の作業部会が3月31日に公表した提言は、市町村の防災力向上の必要性を改めて指摘する形となった。
 提言が掲げたハザードマップの改訂は、早期避難が必要な区域を設定することで住民の危機感を高め、自治体にも危険個所の確認を促すことを狙っている。
 現在の洪水ハザードマップは、浸水区域、浸水時の水深、土砂災害危険個所、避難場所の記載程度であるため、早期整備が求められる。今後の取り組みについて示せ。

答弁2(防災安全部長)
 旭川市洪水ハザードマップは、国及び北海道から提供される浸水装丁区域図をもとに、平常時から住民が水害リスクを認識し、災害時に的確な避難行動をとることができるようにするために作成したもので、国、北海道それぞれの管理河川における浸水区域の公表を受け、平成18年と平成22年に作成している。
 平成27年9月に発生した関東・東北豪雨災害を受け、中央防災会議では実効性のある避難計画の策定を提言しており、洪水ハザードマップについては、河川毎にに想定しうる最大規模の降雨を前提とした浸水区域に見直すこととしている。
 新たな浸水区域の公表時期については、国の管理河川が平成28年度から29年度にかけて、北海道の管理河川については、その後、公表されることになっている。
 今後、国や北海道から公表される浸水区域図をもとに、新たな洪水ハザードマップを作成し、国・北海道と連携を図りながら、早期避難が必要な区域や土砂災害危険個所の表示など水害リスクの表示方法を検討し、住民が早期に安全な場所に避難することができる体制を整備してまいりたいと考えている。



3.避難行動要支援者の取り組みについて
質問3(穴田貴洋)
 先の東日本大震災を契機に、政府は災害対策基本法を改正し、高齢者や障害者などの特に配慮を要する者のうち、自力避難が困難な者を「避難行動要支援者」と定義し、名簿の作成を自治体に義務付けたところである。本市の進捗状況について示せ。
 さらに、災害対策基本法では、避難支援に携わる避難支援等関係者に名簿情報を事前提供して、避難行動要支援者個々の「避難支援体制」を構築し、災害時の適切な避難支援等を求めている。どのような状況にあるのか。今後の取り組みを進めるにあたっての課題等についても示せ。

答弁3(防災安全部長)
 本市における避難行動要支援者名簿の作成については、昨年7月に改定した旭川市地域防災計画の中で保有している情報を福祉保健部において集約し、同名簿を作成したところである。
 また、避難行動要支援者の名簿情報を避難支援に携わる避難支援等関係者に事前提供するためには、要支援者御本人の同意が必要であるため、昨年9月から対象者の意思確認作業を行っているところであるが、意思を確認できていない方がまだいることから、訪問を行うなどさらに意思確認作業を進めてまいりたいと考えている。
 次に、平常時において事前に個々の避難支援体制を構築し、災害時に適切な避難支援等がなされる取組のためには、地域の様々な方々の理解と協力が必要なことから、本取組に当たっての手立てや手順を示した手引きを「旭川市避難行動要支援者避難支援の手引(全体計画)」として、本年3月に改定し公表した。
 なお、名簿情報を事前提供する避難支援等関係者としては、本取組に組織合意のある自主防災組織や町内会などの地域組織にお願いしたいと考えており、これら組織の研修や訓練、市民委員会・防火クラブなどの様々な組織の各会議等の機会を捉え、当該手引を用いて、まずは避難支援体制の構築に取り組んでいただけるよう働きかけている。
 そのようなことから、地域等への働きかけは、更に広く進めなければならないと考えているが、本取組には組織的なマンパワーが不可欠であり、個人情報も扱うことなどから、今後の課題については、迅速な避難支援体制の構築の必要性を踏まえつつ、慎重に進めることが肝要であると考えており、より丁寧な説明や広報等で働きかけて参りたいと考えている。



4.担い手について(自衛隊)
質問4(穴田貴洋)
 少子化に伴い、災害時に救助にあたる自衛隊や消防などの防災対策の核となる組織の「人材確保」が年々困難さを増している。
 例えば、自衛官の募集対象である18~26歳の人口は、平成6年度の1,700万人が平成26年度には1,100万人に減少している。
 自衛官の募集に水を差すような行為もみられるが、少子高齢化を余儀なくされる時代に優秀な人材を確保することが極めて重要な「災害対策」となる。
 これら問題にどう取り組むのか。

答弁4(総務部長)
 自衛官の活動は、国内外の災害派遣活動においても重要な役割を担っているものと認識している。
 東日本大震災における災害派遣活動や先の熊本地震において、陸上自衛隊第2師団がいち早く現地に派遣され、地震災害に対処されたところである。
 これまでも自衛隊旭川地方協力本部からの依頼により、募集対象者に係る住民基本台帳の閲覧対応や広報誌への自衛隊募集記事の掲載、自衛官募集ポスターの掲示など、自衛官の募集に関する事務に努めてきた。
 今後においても、災害対策の担い手ともなる自衛官の確保について、自衛隊旭川地方協力本部と協力していく。



5.担い手について(消防団)
質問5(穴田貴洋)
 地域防災の担い手である消防団は、全国的に年々減少傾向にあり、国においても消防団員の確保に向けた取り組みに重点を置いているところである。
 本市の消防団員数の現状及び消防団員の確保に向けた取り組みについて示せ。
 また、消防団員向けの教育・研修については、火災発生時の消火活動を基本として、計画的に実施されていると伺っているが、近年は、地震・風水害等の様々な自然災害の発生時に地域の中核である「消防団」の活動が益々期待されている。
 本市における消防団員の自然災害への対応に向けた教育研修の実施状況、今後の取り組みについて示せ。

答弁5(消防長)
 消防団員の現状については、平成4年の750人をピークに平成26年には669人まで減少したが、その後、入団者数が退団者数を上回り、本年6月1日現在、定員750人に対し、690人となっている。
 次に、消防団員確保への取組は、各分団において団員自らが加入促進に努めているほか、各種イベント等で消防団活動のPRを行うなど、消防団への入団を呼びかけているところである。
 また、複数の従業員が入団している事業所には、消防団協力事業所表示制度に基づき表示証を交付し、当該事業所の社会貢献を広く広報するとともに、消防団と協力事業所の連携・協力体制を一層強固にし、地域における消防防災体制の充実強化と消防団員の入団促進を図っているところである。
 次に、自然災害への対応に係る消防団員の教育研修及び訓練の実施状況については、新入団員を対象とした「基礎教育研修」において、各種の自然災害に関する研修を実施しているほか、旭川市防災訓練における住民の避難誘導や避難所運営支援に関わる訓練、北海道開発局が主催する「水防公開演習」及び各消防分団の定期訓練による水防工法訓練、冬季には雪害を想定した雪中救出訓練を実施するなど、自然災害に対する知識と技術の習得を図っているところである。
 今後においても、自然災害に対する実践的な訓練に取り組み、災害対策能力の向上に努めてまいりたいと考えている。



6.市役所機能について
質問6(穴田貴洋)
 大規模災害では、地方自治体そのものが被災して、自治体としての機能が極端に低下してしまう。この空隙を埋めるシステムを近隣自治体などと創りだすことが重要な課題である。
 最後に、現状と課題、今後の取り組みについて示せ。

答弁6(防災安全部長)
 防災体制に関わっての周辺自治体との連携については、定住自立圏共生ビジョンの取組の一つに、防災計画等の情報共有、職員を対象とする合同研修や訓練等の実施、防災計画等の情報共有、職員を対象とする合同研修や訓練等の実施、災害時における総合応援体制の構築により、圏域内の防災体制の連携や充実を図る取組がある。
 しかしながら、議員ご指摘のような庁舎機能が極端に低下したときに、庁舎機能の代替などについて、周辺町と連携を行うことを想定しているとは言えず、大規模災害時であっても最低限の市民サービスを提供するためには、ご指摘のような点も検討課題であると考えている。
 そのために、今後においては、大規模災害を想定した広域的な防災体制の在り方を検討するとともに、大規模災害に的確に対応できるよう周辺自治体との連携を更に深めていきたいと考えている。


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