マイルドさんから引き継いだ会員さんは、小柄でかわいらしい明るい女子だ。
少々メンヘラで落ち込みやすい、ミドサー女子。
クールと見せかけて、実は、乙女なところがある。
幼い頃からプリンセスのような世界観に憧れているので、「ぷりちゃん」と呼ばせてもらおう。
引き継ぎのために、マイルドさんがぷりちゃんの情報をまとめてくれた。
メンタルの浮き沈みが激しいので、月に1度、電話でお話をしていたので、それを続けてほしいとのことだった。
マイルドさんがブライダルサロン・サイコパス(私が働くブラック結婚相談所)を辞めることになったことを、ぷりちゃんに伝えた翌日、マイルドさん、ぷりちゃん、私の3人でLINE電話で話すことになった。
まずは軽く自己紹介。
LINE電話で表情が見えないので、私は明るい声で、元気に自己紹介をした。
数秒、沈黙があった。
んっ?
ぷりちゃん、怒ってる???
ぷりちゃんは、マイルドさんが辞めると聞いてすぐだったので、気持ちの整理ができていないようだった。
こんなに急なタイミングで、なぜすぐに教えてくれなかったのかと、ふてぶてしい態度でマイルドさんに聞いていた。
マイルドさんは、ぷりちゃんには「家庭の事情」と伝えていたので、自分の勝手な都合で申し分けないと何度も何度も謝っていた。
そんなマイルドさんを見て、辛くなってきた。
本当はBB(私が働く結婚相談所の社長。ビッグマウス・ボス。)に辞めさせられたんだと言いかけそうになったが、マイルドさんはそんなことは望んでいないので、グッと堪えた。
ぷりちゃんは、マイルドさんをとても信頼していたので、担当者が途中で変わるなんて、自分はなんて運が悪いんだ、なんて不幸なんだと言っていた。
卒業するまでマイルドさんに担当して欲しかった、マイルドさんが辞めるなんて辛いと泣き出してしまった。
そして、私が担当では不安だと言われてしまった。
え〜っ(T . T)
ブライダルサロン・サイコパス(私が働くブラック結婚相談所)では、会員さんと個人的に直接連絡を取ることを禁止している。
私はその決まりを守ってはいないが、マイルドさんは守り続けていた。
個人的に連絡を取らなくても、こうして会員さんと信頼関係を築けるものなのだと少し驚いた。
月1の電話面談のおかげもあるのかもしれない。
つづく。