最近日曜記事に書くことが思い浮かびませんw
そこで思いついたのが漫画や小説のレビュー。
何度かここで説明したとおり読み物は電子書籍にて読んでいます。
しかも最近は新幹線やホテルでやたらと読みふけるのでどんどん増えていく始末。
その中でも紹介に値するあまり知られていない作品を「埋もれた漫画名作」としてレビューしていきます。
ちなみに漫画をよく知らない層でもジャンプ系、例えばワンピースやドラゴンボールは認知されていますが、あくまでもそのレベル以下全般。
要は「埋もれた名作」とはいえ既にアニメ化されていたり、漫画好きなら割と知っている作品も多数紹介していく予定。
要素の度合いを☆の数で表します。SFやファンタジーは非日常のカテゴリ。
絵☆☆☆
日常☆☆☆
非日常☆☆☆
萌え☆☆☆
グロ☆☆☆
一応主観者である私の属性を簡単に説明。
持ってる属性(小難しい話属性、芸術性、アクション、SFファンタジー、雰囲気萌、グロ耐性有)
持っていない属性(ロボ属性、セクシャル系萌、ハーレム属性)
つまりラノベ系とラブコメが苦手です・・・w
ということで早速。
【それでも町は廻っている】石黒 正数
2016年 12月完結全16巻
アニメ化済
第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門(2013年)優秀賞
絵☆☆☆
日常☆☆☆
非日常☆
萌え
グロ
あえて最初にコレを挙げたのはかなり優秀で且つ説明するのが困難極める作品だからw
通称「それ町」。推理小説好きでイカれた女子高生の日常ギャグです。正直当初読んでいて良さがわかりませんでしたw
同業者(他の漫画家さん)がコラムや対談などでこの作品名を挙げて絶賛するケースが多々あったので渋々読み進めていたのですが、いつのまにか最終巻に近づくにつれ読み終わるのが寂しく感じてくる中毒性。
絵と漫画がめちゃくちゃ上手いです。藤子不二雄先生のような漫画的表現から現代の特に青年誌にありがちなデッサンに基づいたリアル表現までを書き分けて表現している珍しいタイプの漫画。
(藤子不二雄作品のオマージュを幾つか見つけました)↓
かと思えば表紙などでは持ち前の画力を魅せてくれます。
非日常に☆をつけたのは、実はガチのSF回もあるから。
基本は1話完結の日常ギャグといえますが、本格的な推理やミステリーも多数あり、ファンタジー回あり、恋愛回もちょいあり。上記の藤子不二雄作品に限らず映画や漫画のメタネタがかなり多く出てきます。
さらには時系列がバラバラですw 突然主人公の髪が短くなったりもとに戻っていたり、1年生だったり3年生だったりw
ここまでの説明で一般の漫画読みの方は恐らく想像しにくくて混乱していると思いますがちょっと類を見ない類の作品なのでしょうがないです。
アニメ化済。しかもまさかの
シャフトで新房監督ですw
さらにオープニングに驚かされます。40代以上にはたまりません。
シュガー・ベイブの「ダウンタウン」(作詞・作曲 : 山下達郎)を新房劇団で物語シリーズでのキスショットの坂本真綾さんが歌っていますw
2010年の秋アニメなのでシャフトにとってはまどマギ直前の作品ですね。
2010年にしては手が込んでいて作り込まれたアニメであり、一部マニアックなファン層もあるようですが個人的には漫画の方が好きかも。
ちなみに
シャフトと一緒にお仕事をした作者はその後こんな首のカットや↓
主人公の存在しない、生まれてこなかったパラドックス世界の話を書いたり明らかにシャフトの影響が伺えます。
【プチネタバレ】
当然ですが原作連載中だったためアニメの12話とコミック最終巻では終わり方が違います。
アニメは途中の話を使って結構泣かせに来ており、誰でもグッとくるオチを見事に仕上げています。
一方漫画の最終話は↓
といった具合にまるで作者のぶん投げのような終わり方。これにはネットや2chでかなり大荒れした模様。
時系列がバラバラなのでどんな終わり方でも有りと言えば有りなんですがコレはひどすぎw……と思ったら
実はよくよく調べて時系順に並べるとひどいどころか大掛かり且つ巧妙なパラドックスが判明します。
さらにコミックを読んでいると「おしまい」と締められてもまだ1~2話分ページの厚みが残っている・・・
実はコミック最終巻には上の最終話の後に本来の最終話としてエピローグ回が収録(非連載)
連載の最終話で世間に叩かれたからとかではなく16巻のページ数的に当初からこのエピローグ回ありきだったのが判明。(最終話のあとがきにも”残すところてエピローグのみ”と書いてますし)
その本当の最終話であるエピローグ回はたった14ページにも関わらず、主要登場人物全員が自然に出てきます。
と言っても読者であれば誰しもが見たかったシーンではあるものの話の内容としてはごくごく普通。
しかし作者が渾身の表現力で描きます。
次のラスト4ページ目で僅かな台詞の後、以降残り3ページは背景も台詞もなく、読み手を感動に誘う見事な演習で幕を閉じます。
正直「ちくしょう!日常ギャグのくせに泣かせやがって」って感じでしたw
最終巻の16巻の発売と、ガイドブック的な「廻覧板」が発売され正しい時系列表により見えてきた本来のパラドックスストーリーが判明しネット内で叩いていた輩が手のひら返しの大絶賛祭りとなったのでした。
このトリックはアニメで表現するのは不可能なのでそういう意味では漫画に軍配が上がるのはやむ無しとも言えます。
世間一般でも最終話まで完璧な長期連載作品は少ないのですが、個人的評価としては「完璧なラスト」を描いた数少ない作品の一つとなりました。
この作品のその他のレビュー&考察
http://nuruta.hatenablog.com/entry/2017/02/16/003157
http://animegaroom.com/soremati16/
もっともわかりやすい時系列表を作ってくれています↓
http://blog.goo.ne.jp/mc-nekotan/e/880bf775da2c30c1ad0981e5f75f1554