直線の延長線上

直線の延長線上

空見上げれば、曇り空。
道行く人は皆知らない、アナタの気持ち。
心を蔑にする友人。
そんな状況でも、アナタは生きている。
生きている限り、太陽を見上げることができるでしょう。
その時、アナタは嗤うでしょうか。

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突発的に目を開いた。



今までの記憶は何処へ行ったのだろう。



起きたてで頭がボーッとしているからだろうか。



道理で周りがぼやけて見えるわけだ。



他にもいくつかの仮説を、自分なりに考えてみるもやはり脳が働かない。



…まあいいや。



途中面倒になって、投げ出す。



これがどうやら“僕”の性格らしい。



面倒事は後に回す、ただ放棄しているだけかもしれないが。



不意に目だけ隣に向けると、少女が座っていた。



その少女は鮮明に見えた。



無表情ながら、真っ直ぐと正面を見ている。



何故か胸が締め付けられるような思いだった。



僕は彼女の事を覚えているわけではない。



ただ、この思いからして、特別な人なんだろう。



温かくて、愛おしいこの気持ち。



しかし何処か不安も抱いていた。



理由なんて分かるはずもなく、僕の性格はまた正常通りに発動したのだった。



とにかく、僕の隣に少女が座っている。



その彼女に釣られて、僕も前を見た。



今度はしっかりと情景を捉えることができた。









僕が見たくないモノ、だったからだろうか。











「―――なっ」



思わずその場で立ち上がった。



ヒヤリとした汗が、首筋に伝う。



目を見開かずにはいられなかった。



どういう事だろうか。思わず身体が震えてしまった。



だけど僕は視線を外すことができなかった。



いつまでも捉え続けるソレ。



そんな僕を、無表情のまま少女は見た。



「現実」



小さく口を動かして、僕に聞こえる声で確かに彼女は言った。



聞きたくなかった。視たくなかった。



拒絶した、現実を。



直視した、現状を。



矛盾した二つの事実らしきものが、互いにぶつかり合い心を染めてゆく。



漆黒で、脆くて、どうしようもない心に。



同時に、フラッシュバックが起きた。



思い出したくない、真っ赤に染まった僕。



細長く銀色に光る刃物を、だらしなく持っており先端からは血が滴っていた。



ニヤリと笑って、静かに涙を零したガラスに映った人影。



あれは少女か僕か。



見分ける時間もなく、現実に戻っていた。



真っ赤にぶちまけられた、その部屋に。



いっそ泣いてしまったら楽かもしれない。



けれど肝心な時に涙は零れやしない。



高まる破壊衝動。



自らを抱いて、グッと堪える。



「それでいいの?」



冷淡な声が、僕の本能を擽る。



ジッと僕の目を見ていた。まるで、心を見透かしている様に。



静かに彼女の首元に、手を添える。



その光景を他人事のように、ツマラナイと言っているかのように彼女は見ていた。



嗚呼、彼女もまた僕と同じなんだ。



いつのまにか笑みが零れた。



それでよくて、いけないこと。



矛盾で、虚言で、妄想なこの出来事。



それでいいんだよね。



何処か悲しげな表情を含んだ目で、僕は語りかける。



少し驚いたような顔をして、彼女もまた哀しげな目で言ったんだ。



僕と違って、口を開いて。



「わるくないよ」



僕はギュッと手の力を強くした。










-end-