遠い空へ旅立ったあなたは、
今頃、誰にも邪魔されずに、
チョコミントのアイス食べてるかな。
「勇気の守護神」と呼ばれ、
小さい体でゴールを守り続け、
みんなから慕われていたあなたは、
実際は完全なるいじられキャラで。
厨房に入れば、皿がどこかで割れると
理不尽に怒れれていた。
鍋を食べれば、最後の最後までゆっくり具を食べ、
雑炊できねーよと急かされていた。
31アイス争奪じゃんけん大会で優勝しても
誰も選ばないチョコミントを選らんで、
女性陣から大爆笑されていた。
「皿割ったの俺じゃないよ??」
「具!もったいないじゃん!ザルにあげてよ!たべるから!!」
「みんな何か誤解してない?勝ったの俺だよ?」
その都度、ムキになって、反論しても火に油。
あなたが誠実だったから、優しかったから、
周囲は常に笑顔が満ち溢れていた。
俺は絶対忘れない。
「あ~カ~くん」と、ちょっと偉そうに手を上げながら、
テレビ欄しか読まない新聞を広げるしぐさを。
優雅に飲むコーヒーには砂糖がたっぷり入っていたことを。
俺は絶対忘れない。
「みんな悪いね~」と言いながら、
嬉しそうにチョコミントを取っていた時の
あの勝ち誇ったドヤ顔を。イケメソ台無し。
俺は絶対、絶対忘れない。
親族からも見放され、窮地に立った俺に、
唯一手を差し伸べてくれた人だったということを。
子供たちは大丈夫。みんな前を向いている。治君もいる。
俺もとりあえず何かを成し遂げてから、
そっちにいって、本当のことを言おうと思う。
『あの時は、かばうどころが、
いぢり倒した挙句、伝説化しちゃってごめん
ほんとのこというと、実は俺 大好きだったんだ
チョコミントを、 そして あなたを』