今日は森田療法から学んで、本来の自分を取り戻した体験記を書きます。
山野井房一郎さん、三重野悌次郎さん、玉野井幹雄さんの三人ですが、
神経質の苦しみを乗り越えた方です。
山野井さんは、森田先生から直々に指導を受けた方で後に公認会計士になり、
多くの専門書を出して社会貢献した方。
三重野さんは、私たちの先輩で「森田理論学習」の成果を挙げ、体験記を公刊した。
玉野井さんも三重野さん同様に森田理論を学んで、神経質者の為に尽し、
対人恐怖を乗り越え、二冊の本を刊行した方である。。
私も玉野井さんの「神経質にありがとう」という体験記を読みたいと強く願っている。
これが古書市場では稀有となってしまい、
17,000円もの高価で、購入には簡単に結論が出せません。
読んでみたく、学習仲間に保持していたら借りて読みたいと伝えたところ
、私家版のものを借りることができた。
玉野井さんは、上記の単著の他に「いかにして悩みを解決するか」も出版。
こちらは自費出版だが、二冊も出すその情熱に頭がさがります。
「神経質でよかった」、「神経質にありがとう」の題名が示すように、
神経質に感謝の思いを綴っていることから、「神経質を活かした」のである。
森田療法の最高到達点は、神経質性格を活かして社会に有用な人生航路を歩むことだ。
森田先生は形外会で、小我から大我への転換を説いている。
「他人からは少々変に思われてもよい。神経質の悩み解決のためには勇気を持て」と。
恥や外聞を超越して、世の為人の為に尽せるように、方向転換できたらよいと説く。
それをこんな表現で伝えています。
「雪の日やあれも人の子樽拾い」と。
神経質の修養が進まないうちは、雪の日の苦労への思いやりが持てない。
修養が出来た人は、「寒い雪の降る中を大変だろうな」と思いを致す。
自己中心の「とらわれ」からの脱却を、こんな例を持ち出して語っている。
森田療法には、いろいろな呼称がある。
「自覚療法」「作業療法」「森田式生活道」などがある。
正しく言うと「精神療法」で、その手法がどこいに力点を置くかで異なる。
最終的には「神経質性格を活かして生きる」のが、森田の指し示す指針だ。
つまり「神経質者の自己実現」を目指せと言っているに違いない。
玉野井さんの「神経質にありがとう」の目次をネットで拾い出してみた。
それを下記してみます。
項目、目次を読んで大体の見当がつきます。
「神経質にありがとう」というタイトルは、苦悩を乗り越え、
社会人として第三者からは、普通の人と認識され、
大過なく人生を送れた悦びだろうと思う。
目次
- 神経質の人の性格特徴
- 欲望と不安
- 感情の法則
- 神経症にどうしてなるか
- ゆきづまったままに生きる
- 初心者のための「あるがまま」
- 悩みがとれない人のために
- 無条件に生きる
- 他力の恩恵に気づく 私のうつ克服体験
- 存在価値の重要さ
- 素直になるには
- 最近思うこと
このようになっているので、大凡の察しがつきます。
多分、血の通った体験として、温かく、優しく説いているに違いない。
山野井さんの体験記は、森田先生の病院?に入院をされた経験談が主に書かれています。
主訴が、会社の重役とかの前に出ると対人恐怖が出てしまい、随分と苦労をされたようだ。
そのほかに「書痙」といって、文字を書くときに手が震えてしまい深刻な悩みだったようです。
どちらも予期恐怖に襲われる、強迫型(森田先生の症状分類)であります。
入院中の思い出が愉快に語られていますが、「お使い根性」(いわれたままで自在の判断がない)
が丸出しで、思わず笑ってしまう内容が綴られています。
「ものそのものになりきれない」悲しさか、森田先生の指示の心が解らない行動です。
ある時森田医院で働いていた婆やから、みそ汁にいれる「」にらを取ってくるよう頼まれる。
仕事が出来たと張り切ってにら取りをしたが、籠一杯に採ってきた。本人はご満悦だった。
ところがみそ汁に入れる程度の量的判断が働かず、全部取ってきてしまった。
これでは退院はまだまだだねぇ! が婆やの一言だった。
これはお使い根性と云って、頼まれた仕事の目的、量的にどれだけ採るかに思慮が働かない。
これと同じ話が「柿の実事件」で書かれている。これは山野井さんが言われた通りに、
杓子定規に受け取り、木に成っていたいた柿の実を全部取ってしまったはなしである。
美味しい柿の実が成るのを楽しみにしていたのを、無判断で全部取ってしまって。
こうした類の逸話(失敗談)がいくつか出てくる。
真面目ではあるが、依頼された内容の目的を、正しく忖度できない自己判断が多い。
こういうのを森田先生は「机上論」といって、厳しく指導したようです。
書痙については、退院時にも改善されておらず、取り越し苦労を重ねる。
それでも愚直に森田先生の言いつけを守って、必死に治そうとしていたのが解る。
書きやすいようにペンの持ち方を変えてはいけないをはじめとして、
「書痙治療三か条」が書かれている。
私たちは、森田先生が書かれた論文や語りを整理して「森田理論」として学ぶ。
山野井さんの体験記を読むと、入院中の失敗談がふんだんに書かれていて面白いのである。
退院後の重役の前にでて、入院中の説明に夢中になっていて、
気が付けば対人恐怖がなくなっていた話。
仕事は指示がないと自分で見つけ出せず、また工夫が凝らされていない等々が面白く語られる。
「わがままが病気を創る」の項は、
強迫観念の根本は「自己中心のわがまま」のなせる業は頂門の一針です。
辻村先生がいっていた、ノイローゼは一種のわがまま病とぴたり一致します。
治そうとすると治らず、かえって逆効果で症状をこじらせてしまう。
神経症の共通した根本は不安であろう。
その不安は、現実の不安より「神経症的な不安」であって、実体のないもので、
自分の観念で勝手に作り出したものである。
私もいつの日か神経質に感謝する思いを味わってみたいと念願している。

