今日は私が松蔭大学で、15年間「𠮷田松陰論」というおそらく日本の大学で唯一と思われる講座を担当した時に、
年度の最終授業の時に履修者に配布したプリントを書きます。
私は15年間、この文章を毎年学生に配布した。
卒業して、社会人となって大切と思われることを自身の経験を振り返って書き出したものである。
2,500名に配布したが、あれから20年経過している。
第一年度の受講生は、もう40歳を過ぎて社会人として立派にやっているだろうか?
退職した今も、ふと思い出す。
最も優秀だったと思われる学生の名前と顔は、10名近く覚えている。
卒業式に全学総代となり、メールで報告してきた学生もいました。
 
 
 
 
 

 

学生諸君へ

 

吉田松陰論の授業終了にあたって

                             担当 長谷川勤

 

半年間、15回にわたって諸君と一緒に「吉田松陰論」を勉強してきました。

本学の講座においては、出来る限り吉田松陰の原典に触れる(書き下し)ことを心掛けてやってきました。

そのため、原典(書き下し)や諸史料を作成して学生諸君に配布しました。

これは、吉田松陰を知る上で最も大切なこと、との考えによるものでした。

本日で、今年度の授業を終了します。終わりに当って幾つかの諸君へのメッセージを記します。

この10項目を胸に、人生の糧として歩んでくれたら私の喜びはこの上ないものです。

 

 

1、 吉田松陰とは、どのような人物であったか?(松陰の行動や思想、時代背景と認識等)

2、 吉田松陰と現代をリンクして考えてみる。(吉田松陰の現代的意義は何か)

3、 私立大学の建学精神を考える時、松下村塾と松下村塾記の精神は大変参考になります。

 松蔭大学の建学理念(知行合一)や精神を忘れずに、卒業生として今後の生きる誇りを持って社会人になって欲しい。

 特に吉田松陰から学んだものは、大切に願いたい。

 

 

 

大学生活と社会人になるに当って

1、 健康第一(但し、健康管理は、原則として自分でやるもの。)

 万一、健康を損った場合に備えて、自分の主治医を作ること。  

 必ずしも大病院でなくてもよい。定期的に健康診断をして下 さい。

 (企業に入ると、年一回ありますが、これは必ず受けてください。)

2、 大学生活を楽しく有意義に過ごすコツは『よく遊び、よく学べ』と昔から言われる通りです。たくさんの人と交わって、

 色々な経験をし、広い視野を持ってください。

3、 よき友人、よき師を持つよう心掛けて下さい。これは社会人になっても同じです。

4、 人は、一人で生きられません。皆で助け合って生きるのが人間です。ですから、自分をとりまく人を大切にしてください。

 遠くの親戚より近くの他人と云う言葉もあります。

5、 社会人になって特に大切なことは、約束したことは必ず守る事です。

 万一約束を違える時は、勇気を持って事前に相手に説明し了解を求めて下さい。(信頼関係の基本です)

6、 『報告・連絡・相談』は社会人として仕事をして行く時は、必ず実行してください。

 略して「(ほう)(れん)(そう)」と言います。

 仕事の目的、意味を明確に知り、お互いに協力関係の下で仕事する時に非常に大切なことです。

 仕事は、挨拶から始まることも忘れずに!

7、 企業はよくなるのも、悪くなるのも構成する社員の質、仕事の質です。

 会社員なら自分の担当する仕事に精通することです。 

 自分が会社をよくして見せる、の気概を持って取り組んでください。そ れが信頼される企業人の条件です。 

 

 以上

 

これは、私が大学卒業後に会社員を36年間経験して、その中から学んだ大切と思われることを書き出したものです。

一流経営者の講演や書物を読むと、同じようなことに出会いました。

とりわけ、現在は「高度に分業化」された社会になっていて、企業でも仕事(責任)内容が細分化されている。

そうしたことを踏まえて、自分の仕事に対する専門性を高めることで存在価値が出てくる。

そして、すべてに優先するのが健康であり、健康管理を怠らないよう呼び掛けています。

そして、「報告・連絡・相談」を欠かさずに行うことの大切さは、会社員のみならず広く社会人としても大切である。

これを、経験を交えて20分くらい私自身が説明し、最後に「良き社会人として人生を全うしてください」と締めくくる。

 

この記事は、森田の考えが所々に影響しています。

森田療法は、入り口では「症状を治す」願いで取り組みますが、途中から変化してきます。

症状を治すことは勿論ですが、それを越えて「人としてどう生きるか」「どう生きたいのか」を学びます。

症状が治っても「神経質」は残ります。

このようなことに理解が及ぶと、「神経質人の生き方」に思いが至ります。

森田先生は「神経質は素晴らしい」「神経質は信頼できる」等々、神経質の良い面を礼賛しています。

私の「𠮷田松陰論」の講座は、それまで5~6人程度の履修者しかいない科目でした。

それを私が担当したら、多い年は百名を超える履修登録があるようになりました。

6年後には、通算で千人を突破し「千人突破記念パーティ」を開いてもらいました。

森田療法理論から学んだことを随所に入れながら講義を進めました。