CD腸炎の『CD』とは、クロストリジオイデス・ディフィシル(Clostridioides difficile)の略で、大腸粘膜に偽膜を形成する『偽膜性腸炎』の1つとして位置付けられています。

 

『偽膜性腸炎』は、大腸粘膜の表面に偽膜を形成する腸炎の総称で、偽膜性腸炎のほとんどが抗菌剤投与が原因であるクロストリジオイデス・デイフィシル(CD腸炎)なのだそうです。(それ以外の原因でも偽膜形成が起こるので、偽膜性腸炎とCD腸炎は厳密にはイコールではありません。)

 

偽膜というものは、粘液、菌、フィブリン、壊死組織、好中球などから形成されています。

何らかの原因によって、腸がダメージを受け、偽膜ができてしまうのですね。

 

いずれにしても重症化してしまうと命を脅かす危険もあるようです。

CDが体内に入っても、腸炎が必ずしも腸内に達して、偽膜形成までいくとは限らないのですが、身体の弱っている高齢者の入居している施設や病院はこのCD院内感染に気をつけなければならないようです。

 

CD腸炎の具体的な症状としては、下痢が最も多く、抗菌剤投与後、数日後から2.3週間後に下痢が起こることが多いとされています。

 

また、しばしば発熱もあります。

 

便は、水様便のことが多いのですが、場合によって泥状便、粘液便、粘血便になることも。

 

私の場合は、最初は普通の下痢の時の様な軟便から水様便で始まり、特に驚くようなものでもなかったので、食事もしていました。なので処方された薬を1週間飲み、終わった直後、突然、雷に打たれたような激しい腹痛と身体中に衝撃が走りました。そのときは、お腹が異常にパンパンに張って、下痢というより便秘に近い感じ?だったかもしれません。

 

それから、突発的に激しく下痢が起こって、すぐに立って入れないほどの状態になり、お手洗いの住民になりました。

とにかく急に動けないぐらいになったので、病院にも行けないまま、どんどん時間が経っていきました。数日後には、もはや便と言えないような白っぽい粘液に血液が混じったものが絶えず、体の中から流れ出してくるという状態になりました。

 

まさかこんな危険な菌の仕業だとは思ってもみなかったので、薬局で下痢止めを買ってきてもらおうとか思いましたが、もしそうしていたら命に関わるようなことになっていたと思います。下痢止めは勝手に飲まない方が良いですね。

 

 

抗菌剤によって腸内バランスが崩れることを、『菌交代現象』というのだそうですが、抗生剤で良い菌がいなくなってしまうと、悪い菌が増殖して毒を出すので、それによって腸の粘膜が傷ついていきます。

 

軽い場合は、発熱だけだったり、軽い下痢などで済む場合もありますが、その毒が口から下にいくほど症状がひどくなるようです。

 

最終的に大腸に達して重症化すると偽膜が腸にできてしまうのですね。

 

軽症であれば、原因になっている抗菌薬の服用を中止して別の抗菌薬に切り替えれば、ほとんどの人が回復するらしいのですが、私は知らずにその後、6日間飲み続けてしまいました。もし、事前にこういうことがあるという知識が少しでもあれば、こんなに酷いことにはならなかった訳ですが、全く聞いたことがなかったです。CD腸炎という言葉も入院して初めて知りました。私のように、ご存知ない方も多いのでは。

 

もう少しCDについてわかったことをお分ちしますね。

 

CDは、偏性嫌気性グラム陽性有芽胞棹菌で、ある一定の条件(悪条件)が重なると、芽胞というものを作るのですが、この芽胞は、胃酸に強いので、簡単に口からは腸まで達することが可能なのだそうです。

 

私はアミロイドが胃と十二指腸全般にしっかり付いていて、長期に制酸剤(胃酸を抑える薬)を飲んでいます。最初は胃の保護の薬程度でしたが、抗がん剤で治療をしていくと、それによっても胃にダメージが出て、胃痛が絶えられなくなり、そこで強力に胃酸を抑えるような種類(PPI)の薬を飲み始め、それがずっと続いています。

 

ただでさえ、胃酸に強い菌なのに、胃酸を強力に抑える薬で胃酸が無いので、菌にとってはさらに増えやすかったのでは無いかなとも思っています。

 

また、呼吸器内科での処方の際に、いつもの整腸剤(ラックビー)を抗菌剤用(ラックビーNからラックビーRに)に変えていれば少しは違ったかな?とも後で思いましたが、そのときは、私も先生も何故かそのことに気が付かなかったです。

 

 

またCDという菌は、体内だけでなく、体外でも長期間生存できてしまうという特徴を持っています。一部の院内流行で、より命に関わるクロストリジオイデス・ディフィシル(C. difficile)の菌株が特定されています。

 

CDといっても皆同じではなく、色々な株が存在していて、その株によって性質が異なるのですね。

 

より命に関わるという菌株は、かなり多くの毒素を作り、より重度の病気を引き起こして再発の可能性が高いほか、伝播しやすく、抗菌薬療法にあまり反応しないそうです。

 

ということで、CDは、健康な人(病院のスタッフや家族、介護人)を介して弱っている人に感染を広げてしまう可能性があるのですね。だから厳重に隔離する必要があった訳です。

 

皆さんに知って欲しいのは、このCD腸炎は、特定の薬剤だけで起こるのではなく、ほとんどの抗菌薬で起こる可能性があるということです。

 

これも元気になってから調べてわかったことですが、

具体的には、クリンダマイシン、ペニシリン系(アンピシリンやアモキシシリンなど)、セファロスポリン系(セフトリアキソンなど)、フルオロキノロン系(レボフロキサシンやシプロフロキサシンなど)が最も多く関わっているとされています。

 

回復まで半年間、入退院や救急診療を繰り返しながら、春から真夏、そして秋へと後になるほど心身ともにキツくなっていきました。

 

いろいろ悪条件が重なって起きたことではありますが、最終的に、重症化する因子はやはりアミロイドの存在。

 

免疫と臓器が弱っていることで、いろいろなことが起こりますねー。。

これからも気をつけて、お互いに過ごしましょうね。