『光る君へ』を毎週楽しみにして、観ている。

『源氏物語』と『枕草子』は、家に本があり読んでいたので、大河ドラマを観ていると「おっ!これが作品のあの場面に生かされているのか⁈」というシーンが随所にあって、家族で盛り上がっている。

 清少納言が、推しの定子を励ますように『枕草子』を書き始めるという、大河ドラマの筋書きには、心揺さぶられた。

「書く」という行為が、本人はもとより、読む人の心も癒していることが素敵だ。

そして、そこには、書かれていないことがあることも興味深い。『枕草子』には、定子の幸せな日々のみが書かれている。

以前、『方丈記』を読んだ時も感じたことだが、数々の史実がある転換期を生きたにも関わらず、「誰かが殺された。失脚させられた。」という様な、必ず見聞きしていたであろう政治的出来事は、全く記されていない。書かれているのは、作家の目に映った、人々の日常だ。

これこそが書くべきものとして選んだ、その選別に、作家の強い想いを感じる。

『源氏物語』は創作だから、書く為に選ばれた題材や、そこに加えられる脚色は、より一層、作家の想いを表すことになるだろう。