結婚して、長年住み慣れた東京を離れ、高城に住むことになった。

東京に長年住んでいたけれど、元々地方出身者なので、田舎に住むことにはそれ程の抵抗はなかった。

いまどき、どこに住んでいたって、友達とはつながっていられるし、生活もそれほど違いのあるわけじゃない。 


などと甘く見ていたのかもしれない。 田舎の長男の嫁。 しかも同じ敷地内の母屋に義母が住み、私たちは離れに住むという、不規則な同居。 その上、お風呂と洗濯機は母屋のものを共同で使う。


それでも、いろいろありながらも、どうにか仲良くやってきたように思っていたけれど、結婚一周年の秋、突然、義母に物盗られ妄想が出てしまった。 ほんとに突然で、最初は信じられなかった。 どうして、一緒に住んでいる人を疑うのか? 家族なのに。


状況はどんどんわるくなり、親戚を交えての話し合いも持たれた。 


これは、信頼関係の問題で、それは、一朝一夕に培われるものじゃない。 日々、声を掛け合ったりしながら生活していく中で、形成されていくものだから、努めて交流しあうようにしてみよう。 それでもだめだったら、別居も考えようということになった。


最初はどうにかぎこちないながらも、生活は続けられた。 


でも、その年の暮れ、また、お金がなくなったと義母が言い出し、激高する。 これは、私が認知症だということを証明するために盗ったのだという。


ついにいたたまれなくなり、翌年の1月、夫と2人、アパートに出た。