EURO2024も決勝トーナメントへ突入。決勝トーナメント1回戦の試合のプレビューをおこなう。

 

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30代の若手に
出番が巡ってきた。

 

 イングランドvsスロヴァキア・・・ハリル・ウムト・メラー

 

この試合はトルコの審判団が担当。主審を務めるハリル・ウムト・メラー(Halil Umut Meler)は、2022年に引退したジュネイト・チャキルの次の世代の代表格と目される37歳だ。今回が初めてのEUROとなる。

 

昨年12月には、トルコリーグで判定に不満を持ったクラブ会長に殴打される事件が大きな話題となった。トラウマになってもおかしくない出来事だが、翌年の年明けには審判業に復帰し、国内リーグやチャンピオンズリーグで主審を務めてきた。悲劇的な事件を乗り越え、EUROの舞台までたどり着いたこと自体がまずもって称賛に値する。

 

 

予選リーグではベルギーvsスロヴァキア、ポーランドvsオーストリアの2試合を裁いており、大きな問題はなし。ベルギーやオーストリアなど縦に速い攻撃を見せるチームに対しても難なく対応する走力が魅力だ。スロヴァキアの試合を経験済みで「土地勘」があることもプラスに働きそうだ。

 

今大会のイングランドの試合はローテンポの試合になることが多く、走力を見せるシーンはそこまでないかもしれない。むしろ問われるのはゲームマネジメント力か。スロヴァキアはハードタックルが持ち味のフィジカル自慢が少なくないので、イングランドのアタッカーに対してタイトなマークが予想される。そこでどのくらい秩序を保てるか…はポイントになるだろう。

 

 スペインvsジョージア・・・フランソワ・ルテクシエ

 

発音激ムズのフランソワ・ルテクシエ(François Letexier)は35歳。ヨーロッパのトップレフェリーとして評価されるクレマン・トゥルパンの一世代下であり、若手の登竜門と言える2023年のUEFAスーパーカップを担当するなど、期待値の高い審判員だ。

 

とはいえ、走力が格別に高いわけではなく、マネジメントやコミュニケーションに長けているようにも思えず、特徴を見出しにくいタイプ…というのも正直なところ。基本的には毅然としているが、いわゆる「見逃し」が多く、疑惑を呼ぶPK判定も少なくない。外見もレフェリングーとしての特徴も、同世代であるドイツのダニエレ・ズィーベルト(Daniel Siebert)と通ずる部分が多いように感じる。

 

初のEUROとなった今大会は、クロアチアvsアルバニアとデンマークvsセルビアを担当。特に議論を呼ぶ判定もなく、粛々と職務を全うした印象だ。さらなる飛躍へ、説得力のあるパフォーマンスを見せたいところだが、予想されるのはスペインのワンサイドゲーム。審判として正直「見せ場が作りにくい」試合になりそうな予感がする。