J1リーグ第11節。注目の判定をピックアップ。

 

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PK取り消し後の再開は
守備側へのドロップボール。

 

 新潟 vs 広島 : 第11節
(主審:川俣秀 副審2:長谷川雅 VAR:田中玲匡)

 

29分、中野に対して早川がスライディング。当初はイエローカードの判定だったが、VARレコメンドによるOFR(オン・フィールド・レビュー)の末に、レッドカードに判定が変更となった。

 

ボールを刈り取ろうというプレーではあったものの、足裏がやや上がった状態で中野の足首のあたりにヒットしている。リプレイ映像で繰り返し見ると足裏がヒットしている印象は強くなっていくので、映像を確認した川俣主審がジャッジを変更したのは妥当なところだろう。

 

ただ、イエローカードという判断自体は「明白な間違い」とは言えないので、VAR介入理由としてはおそらく「重大な事象の見逃し」のほうだろう。おそらく川俣主審と長谷川副審は足裏の接触を確認できていなかったのではないか。そうでないとしたら、イエローカードという主観的な判断への介入はできなかったはずだ。

 

 C大阪 vs 札幌 : 第11節
(主審:福島孝一郎 VAR:飯田淳平)

 

68分、カウンターの場面でルーカス・フェルナンデスがドリブルで仕掛け、対応した菅と交錯して転倒。ドリブルで持ち出したところで足がかかっており、明らかなファウルだ。もちろん、ルーカス側が菅の動きを予測して「誘った」部分はあるだろうが、足の運びはドリブルの動きとして自然であり、ファウル判定で問題ないだろう。

 

 FC東京 vs 京都 : 第11節
(主審:岡部拓人 VAR:中村太)

 

92分、原のクロスに平賀がヘディングで合わせたボールを森重がブロック。ここで岡部主審はいったんPKを宣告したものの、VARが介入しOFRに。映像を確認した岡部主審はノーハンドと判定しPKは取り消しとなった。

 

ボールが森重の左肘のあたりに当たっているのは事実だが、ポイントは腕の広がりだ。森重の左腕はほぼ胴体に密着しており、広がらないように折り畳んでいるようにも見える。結局、肘の部分に当たっているのは間違いないように見えるが、あれでハンドを採るのは厳しいだろう。

 

ハンドを採った岡部主審の判断が「明白な間違い」とは言えない気もするが、岡部主審の視野からだと腕の広がりが見えづらく、ボールの跳ね返り度合いとして肘に当たった印象が強く残ってしまう。終了間際の重要な判定という点も含めて、OFR→ハンド取り消しというジャッジは妥当だったと考えられる。

 

なお、DAZN解説の福田正博氏が説明したように、この後の再開方法はドリップボールになる。森重に当たったあとゴールラインを割っているので、ハンドでなければコーナーキック…という気持ちはわかるが、PKを採った以上はその時点で試合が止まったという扱いになるので、PKジャッジ取り消しとなった場合には守備側へのドロップボールになる。

 

 鳥栖 vs 東京V : 第11節
(主審:清水勇人 VAR:鶴岡将樹)

 

17分、裏に抜け出した木村が上夷ともつれ合って転倒。清水主審は上夷のホールディングを採ってPK判定を下した。手が肩にかかってドリブルでの前進を阻んでおりファウルであることは明白。カードの色としては、シュートチャンスではあったものの、ボールコントロールが若干定まっていないので、ギリギリSPA(チャンス阻止)止まりか。

 

 福岡 vs G大阪 : 第11節
(主審:上村篤史 副審1:大塚晴弘 VAR:吉田哲朗)

 

97分、ガンバの美藤が松岡に対してチャージ。当初はイエローカードだったが、VARレコメンドによるOFRの末に、レッドカードに判定変更となった。松岡の足首あたりに左の足裏を見せて接触する形となっており、勢いを抑える配慮もまったく見られない。レッドカードに異論の余地はないだろう。

 

上村主審としてはアフタータックルの可能性を考慮して目を残していたものの、串刺し気味になっており接触の部位や程度を見極めきれなかったか。A1の大塚副審からも接触部位は隠れる形になっており、見極めは難しかったと思われる。