J1リーグ第4節。注目の判定をピックアップ。

 

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美しくジャッジを下す
ルイス・スミス主審の「表現力」

 

 京都 vs 横浜FM : 第4節
(主審:川俣秀 副審2:阿部将茂 VAR:飯田淳平)

 

開始早々の8分、裏に抜け出した植中を倒したアピアタウィアが一発退場。

 

植中がアピアタウィアの進路にあえて入り「ブロック」したようには見えるが、アピアタウィアは植中の背中側から接触しており、最終的には足も絡んでいる。ほとんど影響はないが若干手がかかっているのも印象は悪く、ファウル判定は妥当だろう。4要件は揃っているので、ファウルであればDOGSO(決定機阻止)で一発退場…というのは誰もが納得するところだろう。

 

縦に一気に展開したので主審としては距離が空きがちな状況になったが、川俣主審はフルスプリントで距離を詰めつつ、サイドに若干膨らんで角度を確保しファウルの有無を見極めた。また、植中の飛び出しをオンサイドだと見極め、かつファウルの位置がペナルティエリア外であるとの見極めにも一役買ったであろう阿部副審の働きも見事だった。

 

後半に入り63分、今度は京都の福田が裏に抜け出したところで、飛び出してきたポープ・ウィリアムと接触して転倒。こちらもDOGSOの判定でポープは一発退場となった。

 

ポープは福田のボールタッチに後れをとってしまい、反転したところで福田と足が絡んでしまった形だ。ポープの足に福田が絡んだようにも見えるし、逆にポープが福田の進路に入ってしまい接触を招いたようにも見え、非常に微妙なシーンには思える。

 

個人的には、ポープは足を残してトリッピングを誘ったようには見えず、かつ福田の方向転換はポープにとって予測しづらいものであったことをふまえると、ノーファウルもしくは福田のファウルとすべきだったようには思う。一方で、この判定はかなり主観的な判断が入るものであり、ポープのファウルとした川俣主審の判断も「明白な間違い」とはいえず、介入は難しい。

 

 湘南 vs 浦和 : 第4節
(主審:ルイス・スミス)

 

審判交流プログラムの一環として、イングランドのプレミアリーグより来日したルイス・スミス主審が今節を担当。弱冠30歳にしてプレミアリーグデビュー済みであり、イングランドでも大いに期待されている若手審判だ。

 

試合での印象としては「下手に動きすぎない」という点で、落ち着いた佇まいが目立った。大柄な体格を活かしたストライド走法で距離を詰め、そのうえで落ち着いて事象を見極めており、一つひとつのジェスチャーが「美しい」ものであった。いわゆる「雰囲気をもった」審判であり、異国の地にありながら落ち着いた振る舞いができていることは大物感が漂う。

 

今節はVARのOR(オンリー・レビュー)によりゴールを認めたシーンがあったが、VARチェック中は選手を落ち着かせながら制止し、ジャッジ変更の際には明瞭なジェスチャーで判定を下した。日本人審判としては、スミス主審の「表現力」から大いに学びたいものだ。