先週17日の市場では、米商務省が発表した05年第1・四半期の米経常赤字が約1951億ドルに拡大(経常赤字の第1・四半期の米GDPに対する比率は6.4%を記録)して過去最大となり、対米資本流入や貿易収支悪化に対する懸念が強まりました。また、需要増加に対する懸念やナイジェリアの米国大使館が攻撃予告を受け閉鎖したことなどから、NYMEXニューヨーク・マーカンタイル取引所で、原油先物が1バレル58.60ドルと過去最高値をつけています。そして、COMEXニューヨーク商品取引所の金塊先物相場もファンド筋などが一段の買いを入れ、中心限月8月きりは1オンス440.00ドルと前日比2.10ドル高で終了。中心限月が440ドル台で引けたのは3月16日以来約3カ月ぶり。また、前週末にブリュッセルで開催されたEU首脳会議は、中期予算をめぐり議論が紛糾。合意に至らず。欧州憲法条約の批准期限先延ばし決定で、ユーロに対する信頼感が低下し、且つ原油先物相場が史上最高値を付けたことなどから、金価格も上昇。一方で、6月の米ミシガン大学消費者信頼感指数は、予想を上回る数字。しかし、消費者心理が上向いたとしても、ガソリン価格の上昇は米景気に重要な消費者の購買意欲を後退させることになります。しかも、原油高により、8月の米FOMC連邦公開市場委員会で利上げが打ち止めとなる可能性も出てきています。金利先物市場は、6月と8月のFOMCで0.25%の追加利上げがあるとの見方を織り込み済み。最近のドル売り圧力は、FRBの利上げと利上げが今後も継続されるという見通しに相殺されています。OPECは15日、生産枠を日量50万バレル引き上げる決定をしましたが、その量では公式枠を超えている実際の生産分を追認するだけだという見方が広がっています。OPECは、相場が高止まりを続けた場合、7月末または8月初めにさらに50万バレルの追加増産を行うことで合意。ただ唯一大幅な増産余力を持つサウジアラビアは、供給拡大の用意があるとしながらも、製油所の精製能力不足を懸念して、製油所への原油輸送に慎重になっているようです。加えて、米国では1976年以降、新たな製油所建設は行われていません。
また、テクニカル要因の影響もあり、最近続いていたユーロ安に歯止めがかかっており、対ドルでは、1日の上昇率では過去4カ月で最高。対円でも4カ月ぶりの上昇率、英ポンドに対しては、1年ぶりの上昇率を記録。しかし、ユーロの上昇局面では依然として売りが出やすい状況です。
一方、英国の金融政策見通しについて、ロイター通信調査によると、四半期別の金利水準の中央値は、2005年第3・四半期と第4・四半期がそれぞれ4.75%、2006年第1・四半期と第2・四半期がそれぞれ4.50%、さらに2006年末までの金利は4.25%と予想されています。前回6月2日時点の調査では、2006年3月末まで金利は4.75%に据え置かれ、その後、年末にかけて4.50%に低下すると予想されていました。次の政策変更は利下げとみる割合は全体の73%で、前回調査の70%から上昇。英指標が、消費支出・小売売上高の伸びも鈍化するなど、労働市場の弱さを裏付ける内容となっていることから、2006年の第1・四半期との見方が大勢になっているようです。
また、中国人民銀行(中央銀行)周小川総裁とシンガポール金融管理局(MAS)ヘン・スウィーキート局長は19日インドネシアのバリでのアジア太平洋地域の中銀総裁の年次総会の後、金融面の協力について協議しました。これまで中国は「1ドル8.28元の近辺に元をとどめている現行の為替制度をより柔軟な方向に向かわせる計画である」としてきたため、中国が固定相場と変動相場の間の妥協点として、通貨バスケットに対してシンガポールドルの目標レンジを定めるシンガポールの為替制度を倣う可能性がありましたが、その可能性については話し合いませんでした。周総裁は「中国経済の規模や発展段階は、シンガポールと違う。中国は、自らの改革を自らのやり方で考えている。また中国人民銀行は、すべての国際的な経験を考慮する」と述べています。
本日は、経済指標などがドルの一段高を後押しできず、ポジションが既に大きくドル買い持ち/ユーロ売り持ちに傾いているため、ポジション調整のドル売り戻し/ユーロ買い戻しにドルの上値が重くなる局面もありそうです。日本時間朝方の時間外取引で、原油先物価格が一時59.18ドルへ上昇。前週末の海外市場で更新した最高値を再び更新しています。現在は高水準に積み上がったドルロングポジションの売り戻しのきっかけとなっているようです。
本日、米EUサミット(ワシントン)や日韓首脳会談が予定されています。欧州ではドイツ連銀月報が発表予定です。
今週は、来週の米FOMC連邦公開市場委員会、7月第1週発表の米供給管理協会(ISM、旧全米購買部協会)製造業景気指数、雇用統計を待ちで、23日に、週間失業保険申請件数、5月の米中古住宅販売、24日に5月の耐久財受注、新築住宅販売が発表されますが、24日の5月米新築住宅販売件数(予想132万3000、前回131万6000)や5月米耐久財受注(予想+0.6%、前回+1.9%、航空機大手ボーイングの大型受注で耐久財受注が予想外の大幅増加になる可能性)まで主だった経済指標の発表はありません。原油価格の動向が焦点でしょう。