スマホも実生活も両方楽しいってなれば
いいですね(笑)

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〈教育〉 幼児にスマホ、大丈夫? 2018年5月6日
東北大学加齢医学研究所 瀧靖之教授に聞く

 親にとってスマートフォン(スマホ)やタブレット端末は、あると情報収集だけでなく子育てにも便利なツールの一つ。幼児の場合、面白いアプリや動画を見せると気を引くことができるので、泣きやまない時やぐずった時には、おもちゃとして与えることもあるでしょう。ただ、幼児のスマホ利用はどこまでよいのか不安もあります。脳の発達の観点から、東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授に聞きました。

睡眠不足と機会損失
 ――子どものスマホ使用について、発育への影響を心配する声もあります。
  
 スマホの使用がどのような影響を与えるのかは関心が高いですが、まだエビデンス(科学的根拠)がないので、明確に言えることはありません。私は脳研究者、医師の立場からお伝えできることを紹介したいと思います。
 多くの親にとってスマホは不可欠なツールです。親の育児ストレスの軽減に役立っている面もあり、「幼児にスマホを使わせてはいけない」などと言うのは現実的ではありません。実際、スマホに触れることでのメリットもあります。ITリテラシー(理解し生かす力)を早期に身に付けられたり、動画の閲覧で言葉やさまざまな知識を習得したりすることもできるでしょう。
 そうしたプラス面を踏まえて、私がスマホやタブレットなどの使用で注意した方がよいと思うのは2点です。一つは物理的影響。もう一つは、成長の機会損失です。 
 物理的影響とは、目などの体への影響です。スマホを一定時間見続けると、近いものしか見ないので目が疲れます。また、画面から出るブルーライトは脳を覚醒させる作用があるため、睡眠リズムを狂わせ、睡眠の量と質が落ちる心配があります。子どもの脳が発達するには良質な睡眠が不可欠ですから、注意してほしいと思います。

異なる発達のピーク
 ――成長の機会損失とはどういうことでしょうか。
  
 他の活動をすることで得られる成長の機会が、スマホを使用することで奪われてしまう、という意味です。特に脳の発達で見ると、幼児期から思春期くらいまでにさまざまな領域で発達のピークが来ます。最も効率的に能力を伸ばせる時期に、スマホばかりしてしまうのはもったいないでしょう。
 発達のピークといっても、決して「それ以降は発達しない」という意味ではありません。脳には可塑性(変化しやすい性質)があるので、どの年代からでも努力、挑戦することで、時間がかかってもさまざまな能力を身に付けることができます。
 発達のピークとは、最も効率的に発達するのがこの時期という意味です。同じことをするにしても幼児期に行えばすぐに身に付くことでも、大人になってからだと随分と時間がかかる、ということは皆さんも実感されているでしょう。
 発達が頂点を迎える順番に合わせて生活環境を整えることで、子どもの可能性を十分に引き出すことができると思います。

使い過ぎに注意
 ――子どもの年齢ごとに、特にどのような関わり方が大事かを教えてください。
  
 まず0歳から1歳ぐらいまでに重要なのは、愛着形成です。愛着とは、特定の養育者との間で形成される絆のことです。子どもが心身ともに健やかに成長するための基盤になります。
 2歳ごろから知的好奇心が急速に育ちます。自分で歩けるようになることから、自分の周囲の物事への関心が高まるのです。多くの人と触れ合い、新しいことを体験した分だけ脳は刺激を受け、さらに知的好奇心を高めていくと考えられています。
 この時期には、豊かな自然がある空間に行き、五感を刺激するとよいでしょう。知的好奇心の高さは、その後の学力の意欲にもつながるため、とても大切だと思います。
 3歳から5歳は、身体機能が一気に高まる時期。跳んだり、駆けたりもします。基礎的な運動能力を効率よく伸ばすことができる時期ですから、走る、跳ぶ、投げるといった全身を使った大きな動きはもちろん、多様な動きも体験させたい時期です。また、大きな動きだけでなく、指先を使った細やかな動きもできるようになるので、楽器を始めるのにも適した時期といえるでしょう。器用さを身に付けるのにも絶好の時期です。
 8歳~10歳は言語能力をつかさどる脳の発達がピークを迎えます。母国語はもちろん、英語や外国語を効率よく身に付けるのに適しています。
 思春期は、人間のコミュニケーションをつかさどる前頭前野が発達のピークです。この時期は、自分の要求が通らなくても我慢をするなどの協調性を身に付けるとともに、他者の立場から物事を考え、行動できる力などが伸びます。脳の発達としては、小学校高学年から思春期くらいにかけてコミュニケーション能力の成長が加速するので、この時期には、友達といっぱい遊び、コミュニケーションを取ることが大切です。
 スマホを使わせる時間を無理してゼロにする必要はありませんが、成長の機会損失があることを理解し、使い過ぎないように保護者は意識して関わる必要があるでしょう。

 たき・やすゆき 東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター副センター長。医師。医学博士。脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究者として活躍。主な著書に『アウトドア育脳のすすめ』『「脳を本気」にさせる究極の勉強法』など多数。

https://www.seikyoonline.com/article/2E7A62BEE2FD39E16D8BEB951312194E
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