彼が退院して一カ月したころ。

病院で彼を担当した保健所の人と会ったので、
気になっていた例の男性がどうしているか聞いてみた。

母の愛というものの深さをしみじみ感じる話だった。

 
保健所職員は、やはり彼を放っておくわけにもいかず、
何度も彼の実家へ電話をかけたそうだ。
そして、彼の現状を話し、どうか彼に会ってほしいと頼んだそうだ。
当初、彼の母は、
「うちの息子ではない」
「とうの昔に勘当した」
そういって、彼を強く拒絶していた。

しかし、やはり母親。
このまま見捨てるわけにもいかないから、
とりあえず実家へ戻ってきなさいということになり、
保健所職員とともに、彼は実家へ帰った。

母にしてみれば。
息子は前科七犯。
世間様に何回も迷惑をかけてきた息子。
息子が刑務所で服役中に、父親は死んだ。
獄中の息子には、そのことを知らせることさえしなかった。
一生、縁を切ろうと思っていた。
そんな息子と、十年以上の時間を空けての再会。


母は、息子を見るなり、

「よう帰ってきた。よう帰ってきた」

そう言って、号泣した。


保健所の職員さんも胸が詰まったらしい。
やはり、母親は母親なのだ。


家族会議が開かれ、彼を見捨てたはずの兄弟たちも、
彼が今度こそ改心するつもりなのであれば援助をしようと申し出た。
結局、彼は兄弟を頼って他県へ行ったとのことだった。


母の愛、兄弟の絆。
そういったことを感じた後日譚であった。



それから。



この一連の話のきっかけは、彼が何気なく先祖の墓参りに行き、
そこで父親の死を知ったことから始まったものだった。

亡くなった父親の導きのいうものも、あったのかもしれない。





人と人のつながりは、運命なんでしょう。
東京ジョー★asジョー松阿弥 THE ROCK'N-ROLL ACTORMAN★


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