『冷静と情熱の間』
という小説と映画があったが、これはまた違う話。

俺がブックオフ高崎貝沢店で副店長をしていた頃のこと。

ある日、当時の店長が出張で店舗にいなかった。

ブックオフといえば、今では知らない人がいないくらいの企業だが、
当時はベンチャーで出始めたばっかり。
勤務時間は今で言う『ブラック企業』に近かった。
ま、給料は良かったけれど。

上司がいない日。
それは、ある意味で、休息の日。

俺は、その日、午後出勤した。
午後出勤は、勤務体系として間違っていないのだが、
当時のほとんどの社員が朝9時から深夜1時くらいまで勤務していた。
そんな中での午後出勤。
別に、悪いことはしていない。

と こ ろ が

である。

午後出勤すると、午前にちょっとしたトラブルがあっていた。
社員は俺しかおらず、店長からは店長不在中の店を任されていたにも関わらず。
俺はなんとかその場を凌いだが、店長に報告しないわけにはいかない。
おそるおそる、店長に電話をかけた。
そりゃ怖いってもんさ。
こんな人だもん。

電話に出たジョー松阿弥こと当時の店長は、わりと上機嫌。

「おぅ、どうしたの?」

「実は……、かくかく、しかじかで……」

冷や汗を流しながら説明する俺。
それに対して、ジョーは、





























「バカヤロー!! お前、何やってんだ!!」






俺は、本気で身が凍った。

ジョーは言った。

「とりあえず、俺が帰るまではちゃんとやれよ」

口調が怖かった。
俺は、

「はい」

と答えた。



それから数日。
店長(ジョー)なんて、店に帰ってこなければいいのに、と思った。
胃が痛かった。



店長(ジョー)が店に帰ってきた日。
俺は、寒々とした店舗二階の社員室でジョーに謝罪した。

「あ、松阿弥さん、この前の件、すいませんでした……」

ジョーは、動きを止め、俺を見据えて言った。































「ん?」









あれ?
この人、覚えてないの? 忘れたの?
あんなに怒ったのに?
なに、そのキョトンとした顔は?




「いや、あの、例の、松阿弥さんが不在の時の……」




ジョーは思い出したようにこう言った。































「あぁ!! あれか!!」









忘れてたんかいっ!!
バカッ!?





そして、ジョーは続けた。













「その後の数日間、お前めっちゃやってたやろ。店見たら分かるって」








ジョーは決して忘れていたわけではなく、
その後の店の様子見て、俺が反省していることを感じ取って、
これ以上叱責する必要がないと判断して呑気に業務していたのだ。
俺のピリピリ感を返せ(笑)







俺が、「この人となら、メリハリのある仕事ができる!!」と感じた一瞬だった。





俺をヒヤヒヤさせたメリハリ上司がこの人だ!!
東京ジョー★asジョー松阿弥 THE ROCK'N-ROLL ACTORMAN★





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