営業少林寺 第十四房 | アムライズのブログ

営業少林寺 第十四房

―――――――第五章  突破(後編)――――――――――



※意味が解らない方は、第一章(営業少林寺第十一房)よりお読みください





担当者の名前を聞き出した営業ドクターKは、



数多の勇者たち(営業マン)をなぎ倒してきた、



屈強な門番たちのもとへ再び引き返した。



城門にたどり着くまでのあいだに、



ドクターKは、人知れず生唾を飲み込んだ。



ゴク・・・・





常に冷静さを失わないドクターKも、



この時ばかりは、さすがに緊張していたのである。



・・・次こそが勝負・・・次こそが正念場・・・



経験から来るものか、本能によるものなのかは解らない。



しかし、



彼の第六感が、ひっきりなしにそう叫ぶのである。



天使のように大胆に・・・・



悪魔のように細心に・・・



ドクターKは緊張を粉砕するために、何度もその言葉を



頭の中で繰り返していた。





彼は、再び門番の前にたどり着くと、



心に巣くっていた緊張という怪物を、力で封じ込め、



門番に語りかけた。



ドクターK

先程は、失礼いたしました・・・



門番

なんだ貴様、まだおったのか・・・さっさと立ち去れぃ!!



ドクターK

いえいえ、そういう訳にはいかなくなったのです。



門番

何ぃ?・・・貴様、どういうことだ?



ドクターK

はい、先程そこで鈴木様にお会いしまして、



事情を話しましたら、城内の中でまっているようにと



おおせつかったのです。



門番

鈴木様だと・・・



門番たちの顔が一瞬凍りついた。城内の鈴木といえば、城の実力者。



その話が本当であったなら、通さないわけにはいかない。



もちろん、

ドクターKはそんな約束などとりつけていないし、



鈴木という男がどういう男かもまったく知らない。



スレスレである。



事と次第がばれたなら、首が飛ぶどころの騒ぎではない。



下手をすれば、国家反逆罪にいたり、孫の代まで罰せられるのだ。



それほどまでに、城の営業攻略とは難しく、恐ろしいものなのである。





ドクターKは、門番たちの顔が凍りついたのを、



虎の目でしっかりと見定めると、



内に秘めたる虎の心で自分を駆り立て、たたみかけた。



ドクターK

鈴木様がおっしゃいますには、城内に受付兵士がおるとのことで、



そこで手続きを済ませて、待っているようにとのことでございます。





ドクターKは知っていたのだ。門番たちは、外の者には滅法強いが、



中の者(城の中の者)にはひたすら弱いことを。ドクターKは、正に



そこをついたのである。そして、さらに詰めた。



ドクターK

門番様、受付は城内のどこにございますか?



この男を城内に入れてよいものかどうか、悩んでいた門番たちは、



ドクターKの間髪入れぬ質問についつい答えてしまった。



門番

受付は、城内に入り、左に30メートルいったところだ・・・



ドクターKは、こころの中でにやりと笑い、門番に述べた。



ドクターK

ありがとうございます。



さ、城門を開けてくださいませ。





こうして、ドクターKは難航不落と言われた城の中に、



営業マン初の入城をはたしたのである。





この行為が正に、営業少林寺の伝説となったのである。



大胆な行動、勇気、営業技術、そして営業マン初の



城内入場・・・



営業少林寺の伝説判定委員会は、満場一致という、



異例の判定により、



ドクターKを、営業少林寺の伝説に認定したのである。



ちなみに、その後彼は、



鈴木が帰ってくるまで待ち続けた。



鈴木が城内に戻ってきたのは、午後10時。



ドクターKが入場したのは、だいたい午後2時であったが、



彼はその間、一度も座らずたち続けて



鈴木を待っていたのである。



その間約8時間。



その姿は、受付兵士より担当の鈴木に伝えられ、



その心意気により、ドクターKのスレスレの行為は見逃された。



その後3ヵ月間城に通いつめ、ドクターKは受注を獲得している。



しかし、その詳しい話は、また今度の機会がよいであろう。



                        完