ハードボイルドなバナナ | アムライズのブログ

ハードボイルドなバナナ

今日は音楽もそろそろ飽きてきたので、

本や漫画の話でも。



ということで、

記念すべき本第一弾はマンガの、

「バナナ・フィッシュ」、全19巻 吉田秋生。



※一部ネタバレ注意



本を読んでから知りましたが、

サリンジャーの小説からとったこの題名。

ふらっと立ち寄った本屋で見つけて、

その題名と、

スタイリッシュなジャケに惹かれて購入し、

もの凄ーくはまりました。

写真は、購入した文庫版のほう。

ちなみに、この人の「夜叉」っていう漫画は、

ドラマにもなりました。

「ラバーズ・キス」っていうのは、映画にもなりました。

でも、

「バナナ・フィッシュ」がやっぱ一番です。





ところで、

この漫画、少女漫画なんですよ。

でも、

男でも全然読める。

そこがまず、凄い。



ストーリーの構造は、



アッシュ・リンクス(NYのストリート・キッズで主人公)

 vs

ディノ・ゴルツィネ(マフィアの大ボス・敵のボス)



という、

つまるところ、

二人の男の対決という、

非常にシンプルな構造。



ところが、

そのシンプルな構造に、

バナナ・フィッシュという謎(当初)のキーワードの下、

色々な人物、団体が絡んでくるので、

話が意外と複雑に見える。



華僑に始まり、

対立するストリート・キッズ、

ジャーナリスト、

医者、

ニューヨーク市警、

軍隊(用兵)、

政治家、

CIA、

殺し屋(元KGB)、

Etc・・・



という具合に、

物語が進むにつれて色んな人や団体が出てくる。

そんな彼らが、

キーワード、バナナ・フィッシュに群がり、

いつの間にやらハード・ボイルド・ロマンな世界に、

どっぷりつかってしまう。

ここら辺が、

恐らく男性の読者をあきさせない部分と分析できます。



しかしながら、

単なるハード・ボイルドでは、

少女マンガとしては成り立たないんじゃないでしょうか。



この漫画に、

少女マンガの雰囲気を与えているのが、

主人公アッシュを取り巻く人間模様。

というよりも、

もはや「恋愛模様」。



ほぼ主要な登場人物全てが、

主人公のアッシュ・リンクスに、

なんらかの形で惹かれている。

その惹かれ方は、

憎悪や嫉妬、師弟愛や親子愛、

等々、

様々な形で表現されますが、

特に敵のボスであるディノ・ゴルツィネは、

どうしても、

アッシュを我が物にしたくてしょうがない。



元々、このアッシュという人物は、

ゴルツィネの経営するいかがわしいクラブで

男娼として働かされていたのだが、

その非凡すぎる才能を見抜いたゴルツィネが教育を施す。

だが、アッシュはどのようなことをしても、

自分のものにはならない。

従順なふりをしても、

決して魂は売らない。

というよりも、

魂に誓って抵抗する。



だものだから、

ゴルツィネの心中、

愛しいやら憎らしいやらで、

ヒート・アップ。

追い詰め方も、

ヒート・アップ。

お前を殺して剥製にして、寝室に飾るとかいうくらいに、

ヒート・アップ。

ここまで、アッシュに対して一途なものだから、

敵のくせに、以外に読者からも人気が高かった。らしい。



そして、

この漫画を決定的に、

少女マンガたらしめている部分が、

ヒロイン役としてでてくる日本人の男の子、

奥村英二の存在。

弱々しく、優しくて、存在感がない感じの少年ですが、

唯一、アッシュを怖れない奴。

唯一、アッシュと対等に接する奴。

唯一、自分よりも強いはずのアッシュを、

必死で運命から守ろうとする奴。

そんな彼に、

とてもジーンとくるんです。

みんなもジーンときたはずです。



と、内容を僕なりに大雑把に説明するとこんな感じですが、

他にも僕がこのマンガに惹かれる部分があります。



それが、「絵」そのもの。



背景を、

とても「無機質」に描く。

血が通っていない建造物として描く。

だから登場人物が、

血の通った、生身の人間として見えてくる。

特に、

人物が感情を吐き出すシーンでは、

背景とのコントラストで、

非常に栄えるきがするんです。

気がするだけかもしれません。



また、

やたらヘミング・ウェイの小説がネタに使われて、

元祖ハード・ボイルド小説を、

興味はないけど読んでみようか・・

と、思わせてくれたりもします。





今日は、ハードボイルドっていう気分の方に、

お勧めします。



田N