日本人のアイデンティティ「武士道」とは何か?
武士道とは、武道のことを意味するのではない。他者を力づくで
圧倒することではなく、自分自身の心に潜む弱さに打ち克つ修練
を重ねることである。
すなわち武士道とは、日本人の道徳であり、行動の美学である。
さまざまな武士道の定義があるが、自分はこう定義する。
人間は、「どういうふうに成功するか」ということを考えて行動
するよりも、「人間はどう行動すれば美しいか」ということが
決定的に重要である。
この崇高なる精神は、仁・義・礼・智・信・忠・誠に基づく人と
しての正しい道だから侍だけでなく、百姓、町人、商人の区別なく
日本人全員に受け入れられた。
そして
キリスト教における聖書や仏教における経典のような成文化された
書物があるわけでもないのに、この自己規律の不文律は、何百年に
わたって日本人のDNAに刻まれ受け継がれてきた。
その証拠に、東日本大震災における日本人被災者の立ち居振る舞い
がある。不可避なものへの静かな服従、災難を目前にしたときの
禁欲的な平静さ・・・我々日本人には、書いた書物はなくても
「どう行動すれば人間は美しいのか」を本能で認知している。
「かくあるべし」という自己規律の精神。
これこそが武士道の真髄である。
★仁 Jin - Love and Sympathy
他者への思いやり、寛容、同情、哀れみ。
「武士の情け」に代表されるように、熾烈な戦の中ですら
敵を思いやる気持ちを持ち合わせている精神。それが「仁」
★義 Gi - Truth and Justice
打算や損得から離れた人としての正しい行い。それが「義」
「フェア・プレイの精神」。日本ではたとえ戦いに勝ったと
しても、不正な行為をして勝った者は賞賛されない。
★礼 Rei - Courtesy
他人の気持ちに対する思いやりを目に見える形で心を込めて
表現することが「礼」。うわべだけの挨拶は、日本では単なる
所作とされ、礼節と認められない。
★智 Chi - Wisdom
物事の本質と道理を正しく見極め、すぐれた知恵を働かせ、
工夫し、よりよい方法を得ようとすることが「智」。
★信 Shin - Faith
理屈抜きに心情的に信じること。信頼にこたえること。
わが日本では契約といった概念はなく、「口約束」だけで
十分事は足りる。
★忠 Chu - Loyalty for the sperior
主君に真心から仕えるとの意味。愛する者への自発的な
忠義心であり、他からの強制で遂行されるものではない。
無能な君主や上司に服従することは忠とは言わない。
★誠 Sei - Promise
言+成=言ったことを成す。
ひとたび承諾したことには命がけでその言葉(約束)
を守り、もし言行不一致の場合は、死をもって償う。
