お疲れ様です
いつの間にか6月で、まもなく夏至を迎えるわけで、「また猛暑か」とげんなりしている場合ではない。日の長さが一年で最もながくなる時、つまり太陽の力が最も強なる時である。世界中で夏至を祝う伝統的な祝祭が行われておることからも、わりとスピリチュアルな時よ、たぶん。
夏至の直前の此度の満月は、さぞや強めな光なのでしょう。今月の満月「ストロベリームーン」いうから、「苺色なのか」と見上げていたものだったが、アメリカではこの時季に野いちごの収穫が行われるから名付けられたと知り、「普通の月にしか見えへんこれも目の老化によるものなのか」と薄くがっかりしていた過去の自分をトントンしてあげたなった。
苺色やなくても、元気になりそうやから、此度はお月見しよ。だいぶフライング気味で忘れてしまいそうな老化が怖い。
昨年の誕生日に夫がくれたアナベルを、日陰の角にひっそり適当植栽したのだが、お花をつけてくれた。液肥を気分であげていただけだったからガリガリ。ちょっとそんなところも、勝手に親近感がある。
夜明けと共に庭へでて、こそこそするのが日課になり、平日のド朝から活動する似たような方が結構いることを知った。アナベル側の斜め前の奥様も5時過ぎ位にでてみえて庭パトをされる。フェンス越しに挨拶がてら庭活談義をしていたのだが、ついに次の休日一緒にコメパトに行く約束をしたガーデニング2年生斜めさんは、何年生さんだろう。ヒューケラの種類が多すぎて、また収集癖が止まらない件について、「あーっ、わかる」と共感してくれないだろうか・・・
山の未来に思い馳せる
林業の取材で山へ行った。植林された緑の山は、遠目にはなだらかな斜面のようだ。だが、車で林道を上がり頂上付近から見下ろすと、斜面ではなくほぼ崖であることがわかる。
こんな急勾配の場所に、1本ずつ苗木を手植えし50年以上かけて世話をし、太く育ったところで伐採して運び出す。費やされる体力と精神力と手間と時間に、ほんまに頭が下がる思いがした。
ときに命がけの仕事のはずだが、山で働く方々はタフで凄く明るい。
「苗木を植えるのに夢中になり過ぎて、崖から転げ落ちそうになったのも2度3度やないですよ」
と、爽やかに笑ってみえた(日焼けのせいなのか、やけに歯が白い)。私がヒルに吸い付かれ、ぎゃーっと半泣きになっていたら、すっ、ささっとライターでカタをつけてくれた。
「山は油断大敵ですねマムシとかに遭遇したらどのようにカタをつけるのですか」
と、問うと、
「カタはつけず笑、生け捕りにして、マムシ酒をつくりたい人に売る。わりといい値がつくよ」
と、ギラり。逞しさにぐらりなりそうになる。
林業に携わる方々は、どうやら冗談が好きなようだった。山は広大なので、同じ班のメンバーであっても作業中は斜面に散らばって個人で黙々と木のお手入れをされる。しかし、昼休みで集まったり仕事を終えて飲み屋に繰り出したりされると、冗談をいいながらメンバーで笑い転げる。
※余りにも楽しく、同席させていただいだ私は、深酒し過ぎて店にPCを置き去りにした
彼らのたくまざるユーモアとは、なんなのだろう。
「毎回、こんな感じなのですか」
と問うと、
「そうですね、昔っから」
と平然と返され、つぎの瞬間には酒席のどこかで、また冗談が炸裂していた。
これはたぶん知恵なのだ、と勝手に着地をした。山の仕事は体力的に厳しく、危険を伴うので緊張も強いられる。一人で山をカバーすることはできないから、メンバーとの連携が重視されるし、高度な技術が要求されるから、各作業は細かく分担され専門化されている。
つまり、山での集中力を解きほぐし、オンオフの区別をはっきりつける為と、チーム内の人間関係を円滑にし、チームごとの連携を高めるために、山で働く方々のユーモアの感覚は研ぎ澄まされてきたのではないか、と思うのだ。
50年以上かけて育ててきた木が、一晩のうちに台風で倒れたら、もう笑う以外に対処のしようがない。辛い事があっても笑い飛ばし、山の未来へ思いを馳せる。自分の死後に悠然たる大木に育った姿を想像しつつ、苗木を植え丁寧に世話をする。
人間に広々とした心持ちをもたらす「笑い」の効用を、改めて実感した時間だった。手入れの行き届いた美しい山から流れ出る川は、あの世のように信じがたいほど澄んでいた。
妄想旅行
韓流包囲網がすごい。
身近な方々がどんどん韓国の役者さんに沼っていく。「身近」の最たるところは私の母で、関西圏の地上波で韓国ドラマを放送している時間帯に電話をしたりするものなら、
「なんですの私、今忙しいねんけど」
と、ものすごく邪魔者扱いされる。
そりゃ韓国のスターは男女問わず、骨格形成上ありえへん美しさであるが、たまに連絡してくる娘をそんな邪険にしなくてもよくない
と思っていたら、身近な仕事相手すらも韓国のドラマに骨抜きにされ、
「ドラマ鑑賞中に電話してきたらマジ怒りますから。私は、締切などすっとばし、明日にでも韓国に旅立ちたいくらいですから」
と言い出す始末。いや、締切は死んでも守っていただきたい。恋の翼が生えたことによって旅情を掻き立てられるらしい。
偶然にも、2人を沼らせた方が同一人物であることが判明した。当たり前だが若き日の父にも似ても似つかないビジュアルの方だ。
なるほど、ありえん骨格美の方であった。
若き日をググる・・・・
韓国の役者さんの顔に歴史ありである。イジュノさん、母を幸せにして下さり感謝申し上げます。
その気持ちは凄く良くわかる。私もこれまで、海外のさまざまな役者さんに報われぬ恋心を抱いてきたが、その度に「あー、旅に出たい」と思った。例えば、ヴィゴ・モーテンセン(「ロードオブザリング」のアラゴルン役)に激しい恋情を燃やしたときは、
「ヴィゴは、どこで何をしているのかしら」
とネットの世界を彷徨い歩き、英語の他、初見の言語で綴られた記事を魂で解読してまで、彼の公私にわたる生活ぶりを知らんと情報収集に努めたものだ。ほとんどストーカーや
しまいには、「ロードオブザリング」のロケ地であるニュージーランドの情報を集め、それでも飽き足らず「中つ国」に旅行するにはどうしたらいいのかを真剣に考えたほどだった。
「中つ国」は物語の中にしか存在しない架空の場所でっせというという内なるツッコミすら聞こえなくなる程、ヴィゴ(おそらくアラゴルン)に少しでも近づくべく、今すぐ旅立たねばっという思いで一杯になった。恋とは、まことに偉大だ。
役者さんへの恋心に基づく旅欲求を「経済効果がまるでない。まったくバカげたエネルギーの浪費だ」と思う方もおられるだろう。しかし、妄想旅行をするにあたっては、様々な資料が必要なのだ。私は、ヴィゴが出演するDVDや、「ロードオブザリング」の関連書籍やらの購入で、ニュージーランド格安旅行なら複数回行けるほどを散財した。おかげで実際に旅に出る費用と時間を捻出できなかったわけだが、我が人生に悔い無し。
経済効果も抜群の妄想旅行。これもまた旅の一つである、という話を終わります。
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。ほなまた、いつかまで