1/21・22に那由他くん出演の舞台を観劇してきました。


アーカイブ配信もあり、DVD、Blu-Rayも発売されます




「悪童日記」という小説をモチーフにしている作品だそうです。

「悪童日記」は戦争中にたくましく生き抜いていく双子の物語

小説のあとがきにも書かれてましたが、主観を意図的に入れていない日々の記録なので、日記を書いてる双子の感情はわからずに、見たものや聞いたもので話が進んでいきます

双子が客観的に見た世界が舞台になって、観客がその外からさらに客観的に見るってどうなるんだろうと思いました。



今回の舞台のタイトルは「GOOD BOYS」
「悪童」とは対象的。

余談ですが、那由他くんのお誕生日は、語呂合わせで「いい子の日」(11/5)なので、タイトル通り!


小劇場の空間の中では、自分も同じ世界にいるような感覚になりました。
説明などがない分、人によっていろんな解釈があって、観劇した人の感想や解釈を見るのが楽しかったです。


明るい話ではないけど、双子が強くなること、生きることに一生懸命で
自分たちがおかれた環境に卑屈になったりすることなく、ずっとまっすぐだったから
観終わった直後は、不思議な空間にいたな、という感じ


でも、見終わったあとにずっと作品についていろいろ考えてしまって、すごく尾を引く作品でした。


以下ネタバレと自分なりの解釈です。

































星星星

自分の感じたことを整理するため、パンフレット内に載せられている台本の表現やストーリーを一部引用しています。ご了承ください。


「GOOD BOYS」の舞台は現代の日本です


高層マンションが立ち並ぶ中に残った昔ながらの家
双子のおばあちゃんが土地を売らなかったから家が残ったらしい


セットはほぼドアと壁のみ
壁は年季の入ったノートみたいになってて、「僕」がノートに書き込むようにどんどんめくられていく

ノートに日記を書き込んでページをめくることで、日付が経っていってるのも感じれる

ただどれだけの時間が経ってるのかはわからない


ノートに文字を書き込む様子から、双子(那由他くん・佐久本くん)の利き手は違うのかなと思った
那由他くんは左利き
佐久本くんは右利き

向き合ったときに左右対称になる

那由他くんのパンツは裾が短めでアキレス腱見える
佐久間くんのパンツはくるぶしも隠れてる

那由他くんは肩幅しっかりしてて、佐久間くんはなで肩だったから那由他くんのほうが体格大きく感じた

※体格は私が目を惹かれるだけで本筋に関係ありません。

どっちが兄でどっちが弟かはわからなかったけど、本人たちも知らない可能性あるよなと。



最初は真っ暗な中で双子の声とおばあちゃんの声と杖の音だけ聞こえる
本当に何も見えないけど、声の位置と双子の声の区別はつくから、こっち那由他くん、こっち佐久間くんというのはわかる

暗い中で聞く杖の音はこわい
でも音に集中できる空間は好き。本当に何も見えなくて目をつむってるみたいだった


10歳の双子はおかあさんから、おばあちゃんに預けられるが、学校に行かず働くことになる。
おかあさんは「いい子にしてたら迎えにくる」と言い残していなくなった

印象的だった言葉
暴言を吐き暴力を振るう人間になりたくない。だから暴言を吐かれても暴力を振るわれても平気になればいい

強くなるために暴言を吐いて、お互いの体を殴りあう双子

双子はお互いの感覚を共有してると聞いたことがあるので、痛みに耐えてるのは2倍つらそうで
痛くない!」と叫びながら抱き合ってるのを見ると、2人共痛かったよねぇ……となった


おばあちゃんは怒ると杖で双子を殴るのだけど、最初は泣いて強がってたけど、壁(ページ)をめくっていくごとに、強く「痛くない!」っていうようになってた気がした。

でも、離れ離れに閉じ込められたときはすごく不安そうで、解放されたときお互いぎゅっと抱き合う



目がほとんど見えないおねえちゃん

街の人が見ようとしない双子にも声をかけて接してくれる
明るい表情や声だけど、言葉の端々に生きる苦しみを感じる



おばあちゃんにお金を借りに来る義理の息子(双子のおとうさん)
おばあちゃんを殴り、息子にも手をあげるおとうさん

それを見て双子にナイフを渡す謎のおじさん(若くに亡くなった双子のおじいちゃん)

(おとうさんから身を守るためには?)
暴言を吐き暴力を振るう側の人間になりたくない、なんて言ってられない


ここから強くなる訓練に、ナイフでお互いの体を傷つけあい、傷口に塩を塗り込んでいくものが加わった

刃物で傷つけ合うのは、見てて(物理的に)痛いです……。それぐらい痛みをこらえる声も表情もすごかった

手は利き手じゃないほうを傷つけあっているのは、お互いに傷をつけれるようにだろうと思ったし
足を自分で傷つけるのは、傷つけた後に相手を傷つけられないからだろうかと思った。そうなのだとしたら切ない。


きれいな服で迎えにきたおかあさん
おなかに弟がいることを知って、自分たちが捨てられたと悟った
おなかの子は捨てないであげてね

お母さんが双子の手をとってお腹にあてるとき、利き手と違う手を持ってたから、双子の見分けがつかなかったのかなと思ったりした。立ち位置の関係で意図的なものじゃないのかもしれない



再びやってきたおとうさんに再びナイフを向ける双子
でも、自分たちで殺す価値はないと、殺すことをやめる
おそらく借金取りか何かに電話する(スマホや電話の扱いをどこで知ったかは不明)



おばあちゃんは病気で倒れて動けなくなった


おばあちゃんがいなくなってコンビニの廃棄の弁当をあさるようになる

廃棄の弁当にはもう価値がないという店員さん

僕たちにとってはまだ価値がある
僕たちがこれを食べて価値のあるものにしたらダメなの

この言葉に言い返せる言葉は私にはない

コンビニのどこかの国から来た店員さんを「日本人より日本人な店員さん」と呼ぶけど、
日本人は優しい人という意味?で日本人より日本人は、優しくない日本人も多い?とかなのかな


旅に出ようとするおねえちゃんに、おばあちゃんのプレゼント
双子はおねえちゃんが生きることが苦しいというのは感じてたような気がするけど、生きていてほしかったんじゃないかと思う


自分の死期を悟って双子に「殺してくれ」と頼むおばあちゃん
(近くに謎のおじちゃん)

最初は抵抗したものの、おばあちゃんがお酒を飲みながら満月を見て泣いていたから
満月が見えるよと言いながらおばあちゃんの首を絞める

おばあちゃんにはおじいちゃんを保険金目当てに殺したという噂があったらしい

双子がおばあちゃんを殺すときのおじさんの「ありがとう

敵をとってくれて。というふうにもとれそうだけど
おじさんからおばあちゃんを憎んでいるような感じはしなくて、噂が本当だとしてもおばあちゃんが望んでのものじゃなさそう
「おばあちゃんの望みを叶えてくれて」ありがとうなのかなと思った



強くなる訓練は変わらず続ける双子

お互いに吐きあう暴言は
バカ」「ボケ」「カス
10歳の双子が知ってる暴言は、おそらく大半がおとうさんが吐いたものだったのだと思うけど
この暴言の中に、後半では「愛してる」が入っていったのが悲しい

劇中ではおかあさんは言ってなかった(はず)だけど、おかあさんに言ってほしかったけど言ってもらえなかったから暴言になったのか、言ってもらえるのを期待してしまってた自分たちに対する怒りなのか


おとうさんやおかあさんを捨てたときに比べて
おばあちゃんがいなくなったときは悲しそうだった

おばあちゃんが倒れてから食事を調達に行くようになったことから、働いていた以上おばあちゃんは食事をくれてはいたのだろうなと思った。

おばあちゃんを忘れてもっと強くなるために
自分たちを捨てられないものにする


この時点で、両親を自分たちから捨て、双子を気にかけてくれた人たちはそれぞれの理由からいなくなった
双子の世界には双子だけしかいない



暗闇の中で
双子は目を閉じたままでお互いの顔を思い浮かべるよう訓練する

そして、「目を閉じれば君がいる」といったあと
明るくなった舞台には一人(那由他くん)しかいない


ここで暗転して物語は幕を閉じる


双子がお互いを「君」と呼んだとき
今まで一心同体みたいだった双子が、1人1人に別れたように感じた


そもそも双子だったのか。という疑問もあるけど、わたしはちゃんと双子で一心同体で育って過ごしてきたんじゃないかなと思いたい。

自分がもし痛みに耐えられずに、自分の痛みを分かち合える人を想像で生み出したのだとしたら、痛みは分け合わないで、自分じゃない人に痛みをすべて引き取ってもらいたいと考えそうだから


双子は強くなるために、ばらばらになっても大丈夫なように訓練したのだと思った。

最後のシーンで、舞台上にいた那由他くんから、佐久間くんがどれだけ離れた場所にいたのかはわからない
食料調達などで一時的に離れただけかもしれないし、別の場所で暮らすようになったのか。

でも、別々に生きることを選んだような気がした。


2人で決めた決断だからそれはきっと2人にとって前向きなもので、正しいものなんだったんだと思う

でも、周りに頼れる人がいて「本当にいいの?」って2人を思いやって声かけてくれる人いたら違う選択も考えれたんじゃないの?と思う

どうしても「ちょっと、保護者のみなさん??」って言いたくなる


双子の行動はまっすぐで、言ってることも間違ってないとは思ってしまって
でも、倫理的には(一部法律的にも)許されないことなんだろうな。
でもそうするしかない気持ちもわかるというか……


1人1人だと優しいのに、世界になると優しくない

客席も舞台の中にあるような感じがして、舞台装置にはないけど、家の周りのタワーマンションに住んでる人と同じように、双子に介入せずただ見ている人になった気がして、自分もそんな世界の一部なんだと思うと悲しくなった



こちらのHPに書かれているIntroduction

最後の行の句点の前の空白には、どんな言葉が入るのだろう。

2〜3文字くらいの言葉かなと思うので、「別れ」かなと考えてみたけど、あんまりしっくりこない

これも観た人が感じた言葉を入れていいんだろうと思うので、もう少し双子の気持ちに思いを馳せてみます。