幼い頃から、自分が周りと違うなという自覚があった。

会話の輪に入ることができないし、仲良くなれたと思った子にもすぐに嫌われてしまう。

だから小学生の頃も常に浮いてたし、嫌がらせを受けることもしばしばあった。

出来損ないだし性格悪いからしょうがない、とずっと思っていた。


そんな私でも、進級や進学とか環境が変わるタイミングでは「新しい自分になろう!」という希望があった。

中学校では私のことを知らない子がたくさんいるから、やり直せるかもと期待を持って入学した。


幼稚園の頃から仲良くしてくれている幼馴染が同じクラスにいたし、話しかけてみた近くの席の子たちもみんな優しかった。

「なんだ、うまくやってけそうじゃん」と油断したのが悪かったのか……私はいじめの発端であろう余計なことをしてしまった。


……いじめを扱う漫画やドラマでは、「今日からあんたがいじめのターゲットね」と言われたり、ある日登校してきたら机に落書きがあったり。

いじめが始まったということが分かりやすく表現されていることが多い。

でも私の場合は、始まりはハッキリしてなかった。でも何故こうなったのかを考えた時に、心当たりがひとつだけあったのだ。


クラスのリーダー格の女子がいて、席が近かった。ある日、太陽が眩しくて窓のカーテンを閉めた。するとその子がカーテンを開けて、「寒いから開けたい」と。

眩しいから閉めたい私と、寒いから開けたいその子……当時の私はすごく頑固で自分の意思を曲げたくなかったから、その件で少し言い争った。

多分、それからはじまったと思う。


そのリーダー格の子も含め、直接嫌がらせをしてきたのは5人くらい。

そしてその取り巻きで、はやしたててくる人たちが10人くらい。


授業中休み時間問わず私の悪口を大きな声で(私に聞こえるように)言われ、「班員分取りに来てください」みたいな時は私の分は持ってきてもらえなかったし、バイキン扱いもされた。

よくネタが尽きないなあと思うくらい、本当に毎日だった。


周りに相談することは無かった。カーテンの件で怒らせてしまったから仕方のないことだと思ってた。自分のせいなのに相談するなんておかしい、と。

それに、私がされていたことが「いじめ」だとは思っていなかった。いじめは暴力をふるったり水をかけたり持ち物に落書きをしたり閉じ込めたり……というイメージだったが、それらのことはされなかったらだ。

保健室や相談室などもあったが、行くことに抵抗があった。それに誰にも言わなかった一番の理由が……片思いしてた先生に知られたくなかったから。


嫌がらせは辛かったけれど、好きな先生にダサい所を見られたく無かった。

教科担任ではなかったけれど、先生のクラスと合同で授業をやることがたまにあったし、学年は同じだから学年行事では必ず姿があった。

そのような時も「嫌われてるって知られたくない」と思って、楽しそうに話してる子たちの近くに寄って、話題に入るわけではないけれど聞いてるフリしてニコニコしてた。

それくらい知られたく無かった。


何を言われてもされても、やり返さなかった。知らないふりを続けていた。

ある日「あいつが泣くまでやろうよ」と言っていて、変なところに頑固というか負けず嫌いな私は「絶対泣くもんか」と心に誓った。


でも人間だから傷ついていた。時には涙が出てしまうこともあった。

必死に泣くのを堪えても、涙がこぼれ落ちてしまう。

そんな時は、机に伏せて寝ているふりをした。嗚咽が溢れそうなくらい涙が出てしまう時は、お腹が痛いフリをしてトイレに駆け込んだ。

個室の壁に寄りかかりながら泣いた、その時の壁のタイルの冷たさを今でも鮮明に覚えている。




【続きます】