アムステルダム ソムリエ  お昼の1時ちょっと

アムステルダム ソムリエ   いつものオランダ定番の曇り空

アムステルダム ソムリエ   むぅ・・・。


昨夜は爆睡したはず。いつも夜24時前になると、気分転換に(*^.^*)、角のお店に飲み物やお菓子を買いに行くのに行かなかったし、何時頃ベッドに行ったのか覚えていません。


私は10年ちょっとオランダの田舎生活をしていました。満月の夜にドイツから車で到着し、生まれて初めての田舎暮らしが始まりました。当時は国境だったアルンハムを超えて、ようやく田舎道に差し掛かった時には、湖に落ちた丸い月と葦の影しか見えず、翌朝小鳥の声に起こされて周囲を見渡すまで、そこがどんな風景なのか想像もつきませんでした。

Ex.とは、2ヶ月の同棲生活を愉しんで結婚。けっこう長い結婚生活でした。離婚を決意して車で田舎を後にしたのは、偶然満月の夜になりました。その土地に来た夜と同じような月と葦の光景を見ながら湖沿いの沿道をでて、アムステルダムに向かいました。以来一度もそこに足を踏み入れていません。


冬になってブラックアイスと呼ばれる厚い氷が張ると、牧草地帯を分けるいくつもの水路が凍り、氷の細道をつたって、いつもは入れない森の奥まで入る事ができます。ある冬、白い樹氷に覆われた木や草をかき分けて、奥に奥にと進んで行くと、視野の中に突然小さな丸い池が姿を現しました。周囲を青白い樹氷に囲まれ、厚い氷が張った池です。動物達の水飲み場であったのか、氷上に雄鹿が一頭いました。牡鹿を見かけることは珍しく、草原で良くみかけるのは群れをつくった雌鹿ばかりです。

私は牡鹿と顔を合わせました。牡鹿は私を見つけても悠々とその場にたっていました。私は見てはいけないものを見てしまったような気になり、鹿の聖域をそっと離れました。


何故、わたしが見てはいけないものを見てしまったと思ったのか、自分でもわかりません。とても自然な感情でした。自然の中で暮らすことによって、わたしは目に見えないもの、得体の知れないもの、理解できないものをリスペクトする余裕のある人間に成長したような気がします。見る事を運命付けられていたのかも知れません。


都会暮らしが性に合っているわたしには、アムステルダムは心地良い街です。でも、冬になるとあの牡鹿のことを思い出し、一人で氷の張った水路をつたって森の奥に入ってみたいと思うのです。