スタッフとの「埋められない壁」の隙間から育成コンサルティング
歯科医院専門スタッフ育成講師の大林尚子です^ ^
今朝、新聞を開いて驚きました。
そこに掲載されていたのは、息子が通っていた保育園の記事でした。
懐かしいなぁと思いながら読んでいると、ある言葉に目が止まりました。
「すごいね」得意生かし合って
そして記事の中で紹介されていた、
「みんなでこぼこ」
という考え方。
息子がお世話になった保育園の記事だからこそ、懐かしさとともに、
「これって、私が今やっているスタッフ育成にも通じるな」
と思ったのです。
人はみんな「でこぼこ」でいい
人には、得意なこともあれば、苦手なこともあります。
子どもだけではありません。
大人だって同じです。
ところが職場になると、なぜか私たちは「できないこと」に目が向きやすくなります。
「もっと主体的に動いてほしい」
「もう少し周りを見てほしい」
「患者さんへの説明が上手になってほしい」
「もっとコミュニケーションを取ってほしい」
歯科医院の院長やリーダーからも、こうした相談をよく受けます。
もちろん、医療に携わる以上、安全面や診療に必要な知識・技術など、一定の基準まで身につけなければならないことはあります。
でも、その先まで全員を同じように育てる必要があるのでしょうか。
私は、
全員を“何でもできるスタッフ”に育てなくていい
と思っています。
苦手を直すことだけが「育成」ではない
患者さんとすぐに打ち解けられる人。
細かな変化によく気づく人。
黙々と正確に仕事ができる人。
診療の流れを読んで、先回りできる人。
後輩の話をじっくり聞ける人。
資料をまとめたり、整理整頓したりするのが得意な人。
歯科医院の中にも、本当にいろいろな人がいます。
一方で、
人前で話すのが苦手だったり、
急な変更への対応が苦手だったり、
自分から意見を言うのが苦手だったりする。
それも、その人の「でこぼこ」の一つです。
すべての苦手を克服させて、全員を同じような「できるスタッフ」にすることが、果たしてスタッフ育成なのでしょうか。
「この人をどう変えるか」から「この人をどう生かすか」へ
スタッフ育成を考えるとき、私たちはつい、
「この人をどう変えよう?」
と考えてしまいます。
でも、もう一つ大切な視点があります。
それは、
「この人の持っている力を、医院の中でどう生かそう?」
という視点です。
一人ではなかなか動き出せない人でも、段取りが得意なスタッフと組むと力を発揮することがあります。
みんなの前に立って引っ張るのは苦手でも、後輩が困っていることに誰より早く気づける人もいます。
患者さんへの説明は得意ではなくても、正確な処置や丁寧な記録では誰にも負けない人もいます。
そんな人に、
「もっと○○さんみたいになって」
と言い続けたらどうでしょう。
自分の苦手なところばかりを突きつけられて、
「私はダメなんだ」
と思ってしまうかもしれません。
それよりも、
「あなたのここ、すごいよね」
「この仕事はあなたの強みが生かせるね」
「ここはあなたに任せたい」
そう言われた方が、人は自分の力を発揮しやすくなります。
強いチームは「優秀な人の集まり」ではない
これまで多くの歯科医院に関わってきて感じることがあります。
それは、
一人ひとりが完璧だから、良いチームになるわけではない
ということです。
Aさんは、患者さんとのコミュニケーションが得意。
Bさんは、診療を効率よく回すのが得意。
Cさんは、細かな変化に気づく。
Dさんは、新人に根気強く教えられる。
それぞれに得意なことがあり、それぞれに苦手なことがある。
AさんのでこぼこをBさんが補い、
BさんのでこぼこをCさんが補う。
そして誰かの得意が、誰かの苦手を支える。
私は、
強いチームとは、“できる人”を集めたチームではなく、お互いの得意を生かし合えるチーム
なのだと思います。
No.2だって、万能でなくていい
これは、私が取り組んでいる「No.2育成」にも通じています。
No.2というと、
「何でもできる人」
「院長の代わりができる人」
「みんなを引っ張れる人」
というイメージを持たれることがあります。
でも、No.2も万能である必要はありません。
むしろ院長とまったく同じタイプの人を、もう一人つくる必要はないのです。
院長にはないものを持っている。
院長とは違う視点でスタッフを見ることができる。
スタッフの小さな変化に気づける。
院長の考えをスタッフに伝え、スタッフの思いを院長につなぐことができる。
そんな「違い」があるからこそ、No.2として大きな力になることがあります。
院長にも、No.2にも、スタッフにも「でこぼこ」がある。
だからこそ、それぞれの得意を組み合わせることが大切なのだと思います。
「できないね」より「すごいね」を探してみる
人はどうしても、できていることより、できていないことに目が向きます。
特に院長やリーダーは、
「もっと医院を良くしたい」
「もっと成長してほしい」
と思っているからこそ、スタッフの足りないところが見えてしまいます。
そんなとき、一度だけ視点を変えてみてください。
「この人は、何が得意なんだろう?」
そして、それを見つけたら言葉にして伝えてみる。
「そこ、すごいね」
「それ、あなたの強みだと思うよ」
「いつも助かってるよ」
本人にとっては当たり前すぎて、自分では強みだと気づいていないこともあります。
誰かから「すごいね」と言われて初めて、
「私にも、チームの役に立てることがあるんだ」
と気づくこともあります。
スタッフを「直す」から「生かす」育成へ
息子がお世話になった保育園の記事を、何年も経った今、歯科医院のスタッフ育成という視点で読むことになるとは思いませんでした。
でも考えてみれば、子どもも大人も同じなのかもしれません。
苦手をなくして「できる人」にすることだけが、育てることではない。
その人にしかない「すごいね」を見つけ、それを生かせる場所をつくることも、人を育てること。
全員を同じ形に整えなくていい。
全員を万能にしなくていい。
人はみんな、でこぼこだから。
そして、その「でこぼこ」があるからこそ、誰かと力を合わせる意味が生まれます。
今日、スタッフを見たとき、
「どうしてこれができないんだろう?」
と思ったら、そのあとにもう一つ、自分に問いかけてみてください。
「この人の“すごいね”は、どこだろう?」
スタッフを「直す」のではなく、スタッフを「生かす」。
そんな視点から始まるスタッフ育成が、もっとあってもいいのではないでしょうか。
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