大会当日、畳みかけるように物語は収束に向かいます。

音露のメンバーの1人の女性が、自分はまだ上手くないからと、真愛に代わりに出てもらいます。

最後のシーンは、「んじゃやってみますかこのメンバーで」と、

近藤将水(大学生,MBZ「C」ランク)が言い、メンバーがドンッと映されてお終しまいです。

筆者は『GANTZ』の東京チームと大阪チームが闘うような想像を膨らました。

ちなみに、音露の他のメンバーは、
・猿田高史(事務機器のメーカー営業)、
・土方力也(少年院出で元プロボクサー)、
・源鞘香(23歳主婦,Fカップ)、
・その弟の源良常(高校生,MBZ「C」ランク)、
・明知那奈(高校生,MBZ「C」ランク)と異色のメンバーなのです。

どのような過程を経て仲間になったのかは、本編を見ていただきたいと思います。

それぞれ背景の異なる登場人物が、

居場所を共有する場面を見て、筆者などは素朴に感動してしまいます。

はじめから与えられた環境(家族やクラスメイト)に縛られて諦めてしまうのではなく、

「本気」になって、自分のあり方を「決断」していき、
自分なりの居場所やコミュニティを開拓していく姿勢が描かれているからです。

 「生きること」とは、すでにある状況を与えられるだけでなく、それを受け入れた上で、どうしていくかを決断するものでもあるのです。

完全なる保証がなくとも、自分のあり方を自分の意思で決断することです。
矛盾するようですが、自分で決断することでありながらも、孤独な状態では、そのような決断をするのは難しいものです。

音露は「才能」、つまり、自分を世界に打ち出すためにはどうすれば良いかを、

「心の対話者」や「友達」との関係を通して決断していったのではないでしょうか。


母は「友達」を、父は「才能」を優先するように言いましたが、
これは、どちらも欠けては実現されないことなのです。