アメリカの心理学者のアブハム・マズローは晩年、5段階の欲求階層の上に、更にもう一つ上があると発表しました。
それは「自己超越」という段階、見返りも求めずエゴもなく、自我を忘れてただ他者に対して貢献するという段階です。

人間性心理学(humanistic psychology)とは
アメリカの心理学者、アブハム・マズロー(1908年4月1日ー1970年6月8日)が
人間の「自己実現」を研究対象とする「人間性心理学」の生みの親です。

その特徴を簡単に言うと、一般的な精神分析とは対照的に
人間の「主体性」・「創造性」・「自己実現」といった
人の肯定的側面から、人間の心理を捉えようとする心理学です。

マズローは、特定の欲求を満たすような動機では説明できない
人間のある種の成長への欲求を存在動機と呼んで
より高次の価値を求める人間について研究したのです。

この考え方はとっても分かり易く、自分自身にあてはめて考えると
「自分が最終的に何をしたいのか?」とか
「どういう時に幸福感を感じるか?」などが見えてきます。

マズローの欲求5段階説(欲求のピラミッド)
マズローの欲求5段階説とは、人の欲求はピラミッドの様に構成されていて
下の階層の欲求が充たされると、より上の階層の欲求を欲する
という考え方をベースにしています。

-生理的欲求-

-安全欲求-

-社会的欲求-

-尊厳欲求-

-自己実現欲求-

例えば、腹が減って死にそうな状況、生きるのがやっとという環境
具体的に言うと、終戦直後の様な状況下では、生活に余裕がなく
自分を差し置いて、他人のことを考えることは難しいでしょう。

そこで、一番下の第一階層の「生理的欲求」とは
生きていくための基本的・本能的な欲求
食べたい、寝たい、などの生理的な欲求です。

この欲求を充たせれば、人は次の階層「安全欲求」を求めます。
「安全欲求」は、危機を回避したい、安全・安心な暮らしがしたい
生活ができる家、健康な身体が欲しい!という欲求です。

「安全欲求」を充たすと次の階層は「社会的欲求」
集団に属したり、仲間が欲しい!という欲求です。
この欲求が満たされない時、人は孤独感や社会的不安を感じます。

「社会的欲求」が満たされると次の階層は「尊厳欲求」
他者から認められたい、尊敬されたい、という欲求が芽生えます。

そして、最後の階層が「自己実現欲求」
自分の能力を引き出し、創造的活動がしたいなどの欲求です。

そしてマズローは晩年、この「自己実現欲求」の更に上に
「自己超越」という段階があることに気づいたのですね。

自己超越とは、他人のために働きたい!社会のために生きたい!
という「貢献したい!」という欲求です。

大切なことは、こういった欲求を満たす時、人は幸せを感じる
という事実です。

働く意味って何だろう?
例えば、テレビを毎日見続けて過ごす…
或いは、贅沢三昧の食事をして、あとは寝て過ごす…
忙しい生活から抜け出して、たまの休日だけならOKです。

でも、ぐうたらな生活に「楽」はあるかもしれませんが
人生の「充実」はありません。

毎日ただブラブラしているだけだと、きっと物足りなくなるはずです。
人は本能的に楽な人生を生きたいというより
充実した人生を送りたいと願っているからです。

そして、本当の充実感とは、何かを達成したり
人の役に立って喜ばれたりした時に感じるものなのです。

結局働くって、原始時代から続く人間の本能なのですね。
そして仕事は、お金を得るための手段だけではないのです。
つまり、生きる上で必要な「生き甲斐」なのです。

人間の究極の幸せって、自己超越を考えると簡単に理解できます。
「人から愛される」「人から感謝される」「人の役にたつ」
働くことによって、この自己超越を得られたら素晴らしいですね!