本場スペインでの夕食は早くて8時から、通常9時から始まる。

東京では6時前後に食事を取ることが多い二人は、スペイン旅行中はいつもおなかぺこぺこということなる。

古城や修道院を改装したパラドールで戴くお食事は、雰囲気も相俟ってすばらしいものとなり、未だにハズレがない。1ヶ月前に訪れたスペイン北部の“パラドール・デ・カルドナ”のイベリコ産生ハムやチョリソーの味と、あの空気を脳裏に蘇らせたくて、今夜はスペイン料理に行くことになった。


「ね、電話してくれる?」と、読書の本を置いて、ペペはなんだか嬉しげな声でメルセに携帯電話を渡した。


「それって、カーサの予約?」と、PCキーボードの手を止めて、「私も今日あたり行きたいなぁと思っていたのよ」と、微笑んだ。


今までまったく別のことをしていたのに、同時に同じ話題を持ち出す。相手が言いそうなことがわかる。自分が気になっているがあえて言葉に出さないことを、何の前触れもなく相手が話し出す。その頻度がここ1年急激に増えてきた。それが年月というものなのか。


原始人のように、言葉ではなく、見えない何かが飛び交っている感覚。。。


こんな風にぴったり合うまでに、どれだけ遠回りして、お互いを傷つけたりしたのだろう。


愛は先人の知恵を借りて、間違いなく無駄なく進めるなんてことできない。

愛は自分達で学習していくもの。