両者の激しい攻防が始まった。正次は先程とは代わり容赦なく花月に打ち込んでいる。しかし花月も奮戦していて決定打に欠けていた。一旦、間を置いた。正次は自分が肩で息をしていたことに気付いて苦笑した。戦場を駆け巡る暮らしをしているのだ。これしきで息を切らす筈はなかった。だとすれば余計な気を使っているからとしか思えなかった。相手は花月。しかし、それは無用の気遣いと分かりすぎる程分かっている正次だった。