枯れ山水に二人の姿がある。花月は白装束に襷を掛けた。自慢の十文字槍を手に正次を見据えた。正次の得物は大身な刃先で柄は漆塗り金の桜の装飾が施してある。見紛い様がなかった。その槍の名は花月。師である彼が正次に贈った物だ。当の正次はというと花月を軽んじているのだろう。辺りを見回し、家臣に話かけたり意識が散漫している様子である。