どうやら正次の成長は花月の想像を遥かに越えていそうだった。そう思ったら正次に対し強い羨望が湧いてきた。
(こ奴・・・)
羨望はやがて魂を燃やした。身体に熱い血が流れていく。かつて流浪していた頃の様に。あの頃は手を伸ばせば空に手が届くと思っていた。何時からだろう。人々の風評に耳を傾ける様になったのは。何時からだろう。他人の人生に口を出す余裕が生まれたのは。