(言い訳?)
考えても見なかったことだった。昔は確かに天下一を目指した。次々と名うての兵法者を倒しいつからかそう人々に持て囃されるようになったのだ。そして道場を開き後進を育てることに専念していった。その頃からか、考え方が変わって行ったのは。各地を往来していたときよりも一箇所に留まっている方が物が良く見える。そう思って疑わなかったが力が衰えているのは確かに感じていた。それに歯痒さを覚えていたのも事実だった。認めたくない。そうかも知れないと花月は思った。人の一生は高々数十年。森羅万象に因れば小さなもの。生きている間にどれだけの事が出来るのか。それを考えたから次代に繋ごうとした。
そこまで考えて花月ははっとした。
(争いがどうとか偉そうに解いていながら自らは争いに使われる武力を指南しているではないか)