「寺院への弾圧・・・。山諸共焼き払ったであろう。何故じゃ」
途端に正次は苦り切った顔をした。この件については散々他からも突かれていたのだ。
「奴等の本性をご存知か?女を囲い酒を喰らう。揚句の果てには罪人を匿う始末。極楽浄土を求んで現世を地獄とかす。そんな醜悪な輩を誅したに過ぎません」
「中には無抵抗な者もあったと云うが」
「諸侯の反撥は予想の範疇。それでも決めたからには犠牲は払っても最大の成果を出さねばならん」
確かに正次の徹底振りは知れ渡り、寺院は今までの様に横柄な態度はとれなくなるだろうし、敵対勢力に対しても牽制となるだろう。しかし、花月は手段を選ばない正次に対しムラムラと怒りが込み上げて来ていた。