旅の途上である寺院に立ち寄った。山の麓にあって深い森の中にあるがそこだけは抜けていて山門まで登ると眼下に風景が広がる。出て来た寺の者に軽い会釈をした。
「妙義上人はおられるかの。花月が来たと言ってくれれば解ると思うが」
ここに来るのは初めてではなかった。