87日(水)
  わたしはこの1週間、築地のがんセンターで行われている臨床試験に参加できるのかどうか、じりじりしてその結論を待っていました。すでに先週中に出るはずの結論が遅れていたからです。それというのも、患部組織がとても硬く、生検で針で採取した資料がほんの少量しか得られなかったので、プロジェクトの認証が得られるかどうか、判断に時間が掛かっていたようなのです。
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  きのう(火)、来院すると、先生はにこにこ顔で治験参加OKという。結論として、今回は生検資料がマストの条件というわけではなかったようだった。ただし、もう一度生検をトライしてほしいという。

  きょう断られたら、「患部を大きく切り取ってもいいから」と、懇願するつもりでいたくらいなので、当方に否やはありません。治験に参加する書類を整えるため、採血、採尿、CT、心電図検査を1日で受けてくれという。
そして最後に頭頸部外科の医師から生検を受けるという段取りが組まれたのですが、とにかく予定外の予約なしの検査なので、どこを回っても、待ち時間に翻弄されてしまう。結局昨日は朝9時から夕方5時過ぎまで、時間が掛かってしまった。

  しかし、今回ばかりは生検は痛かった。首筋の柔らかい部位で、硬くなった患部を3度、今度は失敗しないぞとばかりに、先生はぐいと針を押し込む。局部麻酔をしているとはいえ、さすがに力いっぱい差し込まれてはたまったものではない。麻薬系の痛み止めを飲んでも、しばらくすると底の方からズキンズキンと痛みが襲ってきます。
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  とはいうものの、従来の延長で目途もつかないまま、習慣的にだらだら抗癌剤治療を続けるべきか、寛解するかは未知数ながら、癌細胞と免疫伝達物質との関係で可能性を追求する夢を見るシアワセをとるか。悩むことはないですね。

7月25日(木)
  わたしの頸部癌治療は、放射線治療と抗がん剤の化学療法の組み合わせで行われてきました。当初実施した放射線治療は、10分程度の短時間に毎回7方向から患部を照射するという具合に緻密なもので、おかげで患部がだいぶ縮小する効果が得られました。ただしエックス線で患部を焼いてしまうので、同じ個所を二度は行えないという限界があり、取り切れなかった残部は、抗がん剤の治療に任されたのでした。
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  計画ではわたしの症状に適合すると思われる薬剤を2種組み合わせた抗癌剤を3回分用意していました。3回の入院治療が終わったものの、6月のCT検査では、抗がん剤投与の効果が得られていないことが判明。

  そこで、今後の治療について、主治医から「築地のがんセンターで、阿蒙さんの症状を含めた癌に効く新薬の開発の治験が行われていると聞く。一度受診し、評価を受けてみませんか?」という提案を戴いたのです。

  当てもなく、今まで通り抗癌剤治療を続けるよりも、ダメもとでも治験に参加するのは魅力的です。そのような次第でがんセンター詣でがはじまったのでした。いまのところ、まだ治験に参加するだけの条件を満たしているかは結論が出ていないのですが、30日(火)に受診の予約が入っており、このとき正式に決まります。治験に参加するということは、これも一つの社会貢献ですし、首筋に針を刺し、生検で痛い思いもしたので(笑)、なんとか治験者に採用されるといいなと期待しているところです。
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  ところで、わたしには馴染みのなかった専門用語「治験」とは何を意味するのでしょうか。がんセンターで説明を受けました。それは、このようなことでした。

  「新薬や新しい治療法の効果や安全性を調べる試験を臨床試験という。なかでも厚生労働省の承認を得るための成績を集める試験であって、承認前の薬の有効性や安全性を調べる試験を『治験』という。今回の治験の目的はパート3まであり、パート1は進行固定癌にたいして開発中の新薬を1種だけ投与した時の安全性と忍容性について、パート2は新薬A,Bを一緒に投与した時の安全性について、パート3は特定の癌に対して開発中の新薬A,Bを投与したときの効果について調べる」というもの。

  わたしが参加予定するのは、パート3。投与方法は1時間の点滴です。なお、期間的には1サイクル3週間として、最長1年間と聞いています。
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  平日、週に1回か2回通院するのですから、仕事にも差し支えないし、面白い経験になりそうです。

718日(木)
  17日(水)、阿蒙は一日中築地のがんセンターにいました。
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  先月、半年にわたる抗癌剤治療がどうであったか、評価のためのCT検査を医科歯科大病院で受けていました。 今年3回も入院し、3タイプの抗癌剤投与を試してきたのですが、どうも治癒がはかばかしくありません。宿主の性格に似て、癌も頑固なんでしょうかね(苦笑)。

  そこで、主治医の提案で、阿蒙の症例に似た治験を持つ築地のがんセンターの意見を聞いてみようということになったというわけです。
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  先日医科歯科の主治医の紹介で、初めて癌センターの外来で診察を受け、昨日、改めてレントゲンや心電図、そしてCTという、判断材料となる一連の基本の検査を受けました。

  通称を築地のがんセンターというこの病院は、正式名称を「国立がん研究センター中央病院」といいます。東中野から都営大江戸線に乗り換え、築地市場駅を降りると、朝日新聞の並びに、19階建てのとても大きくてモダンなビルが建っていました。初めて行ったのですが、「築地のがんセンター」という名前からして、小規模な病院だとイメージしていたので、こんな大きな病院だったのかと驚いてしまいました。
  
  朝9時前でしたが、一階のロビーはすでに大勢の人で混雑していました。ふたりに一人ががんを患い、3人に一人が死ぬという時代、しかも全国から集まってくるのですから、医科歯科も大きな病院だと思っていたのですが、スケールが違います。
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  来週は頭頚部の専門医を交え、病院側がどのような判断を下すか、聞いてくることになっています。新しいチャレンジの幕開けとなるか、新展開にちょっと興奮しています。