あもん史 最終章 卒業 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

応援団を引退したあもん達の前に立ちはだかるモノ
それは受験戦争であった
しかしこの問題を解くためだけの勉強に
あもんは何ひとつ魅力を感じなかった
勉強する暇があったら太鼓のバチを叩いていたあもんである
一応は塾にも顔を出していたが
文化祭で完全燃焼したあもんが再び燃え上がることは無かった
そんなあもんは推薦入試で“福山大学”を受けた
面接の時に面接官である教授に堂々とあもんは言った
『応援団やってましたけん。どんなことでもやりきる自信はあります!』
後にあもんのゼミの先生になる髭の教授はそれを聞いてニコニコしていた
あもんは福山大学に受かった


福山大学と言えばこの学区から入学する者は少ない
よってこの学区での競争率は一番下であった
しかも距離が遠い為、自宅から通うことは出来ない
しかし、あもんはセンター試験も受ける気さえも持ってはいなかった
あもんの親はせめて自宅から通える私学に行って欲しかったみたいだが
“受験とは何か”とか“将来は何になる”とか考える気力が持てなかった
あもんは受験勉強を止め
当時、EIGやボブ西が読んでいた司馬遼太郎の本を読みまくっていた


今まで校庭で遊んでいた朋はいつしかライバルとなり
海田高校には虚空感が漂っていた
今年の冬は今までで一番寒い冬であると感じた
EIGは時間を作ってよく後輩の指導に出向いていたが
あもんは一切、応援団には顔を出さなくなった
ボブ西は小説家になるという夢を見つけ必死に何かを綴っていた
たっひーは学校に来なくなりパチンコ通いを始めた


応援団ではない高校生活
一般生徒には普通のことであるが
あもんにとっては応援団でない自分は何なんだろう












そんなことを考え、出した結論は
“何でもない”ということだった



卒業式の日が来た

あもん達は本日、広島県立海田高等学校を卒業する
だけどいったい、何から卒業するのだろう



海田高校の卒業式は卒業生がひとりずつ名前を呼ばれる
『はい!』とその席で答え続けるのだ
厳粛の卒業式である中
ひとりの卒業生が『は~い』と答えた
すると別の卒業生が『ヘイ!』と答えた
体育館でクスクス声が聞こえ始めた
あるひとりが『はい』と手を挙げ起立をした
それぞれが母校に向かって最後の主張をし始めたのだ
体育館はいつもの海田高校の風が流れていった


“イチ”という朋がいた

イチはあもんが2年生の時の同級生であった
彼は生徒会長をしていたが
自ら立候補した訳ではなかった
どちらかというと“やらされた感”があったが
イチはイチの尺度で海田高校生を楽しんでいた
イチは生徒会長であるため答辞を全校生徒の前で読んだ
折っていた紙を広げ長々と読み続けていた
するとイチはいきなりみんなに主張をした


『こんな形式ぶった答辞はいやじゃ~~』
と言い持っていた紙をいきなり破り捨てたのだ
『ワシはの~』
『うぉぉぉぉおおおお!!』
体育館はみんなの歓声に包まれた
歓声の為、イチの言葉は何一つ覚えていないが
普段は目立たなかったイチはこの時、一躍主役となった


尾崎豊
『卒業』






若者は多く悩んだ方がいい
若者は多く転んだ方がいい
若者は多く欲する方がいい
若者は多く悔んだ方がいい
若者は多く傷つく方がいい


若者にはひとつの勇気があればそれでいい
若者にはひとつの恋愛があればそれでいい
若者にはひとつの夢中があればそれでいい
若者にはひとつの自賛があればそれでいい
若者にはひとつの希望があればそれでいい


母校は最後にあもんにそう教えてくれた

笑いの卒業式が終わり
あもん達は校庭に集まった
それぞれが朋や後輩と笑いの別れをしていた




あもん ザ・ワールド


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『第2ボタン、頂けませんか?』
そんな会話がところどころで聞こえていた
あもんの所にも来るかとドキドキしていたが
あもんのもとにやってきたのは
可愛い応援団の後輩達であった



$あもん ザ・ワールド



あもんはそれがいいと思った
後にあもんは彼女に
『第2ボタン、お前にあげよう思って誰にもあげんかったんじゃぁ』
と言って目の前でボタンをちぎりあげた
あもんはそれがいいと思った








『お~い、あもん~見てくれや~』


遠くからノリの声がした
ノリはあもんが入学した頃からの朋である
ノリは同じ柔道部員の大ちゃんとあもん達の所へやってきた



『おぉぉっぉおおお なんじゃ~それは!!』
そこには坊主頭の大ちゃんがいた
『どうじゃ~卒業記念に今さっき剃ってきたんじゃ~』
『あははははは ぶちええじゃ~ん』



$あもん ザ・ワールド


大ちゃんは高校生活最後の日に
大ヒーローとなった

笑い顔と共にあもん達は校門を出た
あもん達は広島県立海田高等学校を卒業した



あもん ザ・ワールド


あもん ザ・ワールド



人生とは
卒業と入学の繰り返しである
卒業とは
ひとつ強くなることであり
入学とは
ひとつ歩み出すことである

あもんは応援団によりひとつ強くなった
そう、たったひとつだけ他人より強くなっただけなのだ


あもんは数週間後には福山大学へ入学をする
親と朋と離れひとりとなり
またひとつ歩みだすのである
応援団では無い自分を見つめ
応援団を知らない他人と接し
本当の自分とは何かを確かめに
あもんは海田高等学校を巣立った


尾崎豊
『僕が僕であるために』









あもんは急にドキドキしてきた
ひとりになったあもんは
何に迷い何処を彷徨いどんな明日を過すのだろう
寂しい時はいつでも母校に帰ってくればいい
だからあもんは不安などは全く無かった
たった3年間の高校生活で学んだモノが大きかったからこそ
未知なる明日は大きく描くことができた


そしていつか本当の自分を
胸張って言えるようになった時
真っ先に母校に語ることとしよう


あもんは
広島県立海田高等学校が母校となって
幸せな人間である



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あもん史~誕生から巣立ちまで~












みなさんこんにちは!
あもんですw



$あもん ザ・ワールド



あもん史~誕生から巣立ちまで~
いかがだったでしょうか?
軽い想いで綴り始めたこの物語
気付けば五十三章まで綴ってしまいました
長い間お付き合いくださいまして
ありがとうございました


特殊な部活である“応援団”を通して
あもんがティーンの時に感じた想いを
できるだけ事実に基づいて綴りました
何分、卒業して17年後に綴った訳でありますから
事実と違うことがあるかもしれません
しかしこの物語は“あもん史”という史実です
自分だけの史実を形に残すことは
自分の過去を認めるということになります


過去は過去でありますから
ブサイクよりはカッコよくありたい!
振り返りたくない過去なんて
一生懸命生きてきた自分を否定するみたいで嫌ではないでしょうか?
今が不安でも過去ぐらいは美化をして
自分にご褒美をあげたいですよね


しかし、この物語はあもんが高校卒業したまでの物語です
漫画『スラムダンク』に例えると赤木が頭を丸めた時ぐらいです
漫画『ドラゴンボール』に例えると亀仙人の修業後の天下一武道会出場前ぐらいです
そう、“あもん史”は現在進行中です!


だから今から10年後もこんな熱く自分史が綴れるよう
今をカッコよく生きていきたいと思っています





ところで、あなたは

誰が好みですか?



$あもん ザ・ワールド


あははは
あもん達は永遠のライバルですからねw


次回からは

あもん史~妄想編~

をお届けしま~す♪

秘密にされていた“あもんの恋物語”が明らかになりますww

お楽しみに~♪♪