あもん史 第18章 屋根 | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

あもんの母校はマンモス校である
丁度、第2次ベビーブーム時代だったからではあるが
1学年に11クラス 家政科、普通科が存在していたのである
だからいろんな表現がそこにはあって
大きな興味とちょっとした背伸びが楽しかった年齢でもあった





『自由な校風』
他校からそう羨ましがられた伝統がこの高校にはあった




『俺!サージ派』『何ゆうとるん!テトロンの方がかっこいいじゃろ!』
『赤T見えとるじゃん 短すぎるじゃろ 極ランじゃん』
なぜか学ランの生地と短さにこだわる若い表現者たちがいた
『俺!38の21』『俺なんか40の18で!』
『ヤベッ 太ってモンブが履けんようになったわ』
なぜか股の太さと足もとの細さにこだわる若い表現者たちがいた




無論、生徒指導は黙ってはいない
全校朝礼での服装チェック
生徒指導室への呼び出し
さらに校門での服装チェック
そして赤キップの配布
やけに目立つ応援団バッチを付け
校門では立ち止まり母校に「押忍」と挨拶をするあもんは
生徒指導に名前と顔を覚えられるには時間がかからなかった
でも、あもんたちは表現を止めなかった
時に追いかけられ 時に説教され 時に愛のムチを受けられながらも表現を止めなかった
それはきっとそれが気持ちよかったからなのであろう
そんな学校生活が楽しかったからなのであろう










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ある時、新しく赴任された校長先生は言った
『高校生らしさを忘れてはいけない』
そして、新しく赴任された校長先生は言った
『校則を守れない人は学校に来てはいけません。直ちに帰ってください』






先生の言うことをよく聞く僕たちはこう答えた
『は~い では帰ります~』
次の日、登校し、直ちに下校した
その次の日も‥
学校は一時期、生徒数の数が半減した‥






PTAから学校へ苦情がでた

新しく赴任された校長先生は言った
『高校生らしさを忘れてはいけない』
そして、新しく赴任された校長先生は言った
『このままではいけない 全校集会をしよう』








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『ひとつ屋根の下』では
いつも問題が発生する
その度に人と人がぶつかり、人と人が話し合う
なぜなら
お互いに認め合いたいから
お互いに触れ合いたいから








一歳年上の“あんちゃん達”はこう考えた
『今の校則がいけんのんじゃ だったら意見を出して校則を変えようや!』
あもんたち“チィにいちゃん達”はあんちゃんの意志に賛同した
小雪だって、和也だって、小梅だって、文也までもが賛同をした


若い表現者達は要望書を提出し発表をした
『指定制服による活発性能減衰と基礎体力の衰退の関係について』
『暖房器具の無い教室での保温性の無い制服と勉強効率低下について』
『夏シャツの汗の吸収率の少なさによる教室環境の低下について』
『女子リボンの指定色による異性感情欠乏症候群の危惧について』
『頭髪規制による表現力低下が及ぼす未来のクリエイター人口低下の予兆について』





こんな説得力のあるタイトルの要望書を書く能力がなかったあもんたち
でもおおよそ、そんな事を訴えてみた
今、表現できる精一杯のことばで訴えてみた


結果
校則がちょっとだけ変わった
全ては変わらずちょっとだけ変わった
だけどそれでよかった
だってまた先生たちと人と人との触れ合いができるから







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『ひとつ屋根の下』では
いつも問題が発生する
その度に人と人がぶつかり、人と人が話し合う
なぜなら
お互いに認め合いたいから
お互いに触れ合いたいから








あもんのひとつ屋根の下には

父と母が存在していた

父は応援団であり

母は学校であった

愛してくれて全て包んでくれたのは

父と母だった