結婚の唄 | あもん ザ・ワールド

あもん ザ・ワールド

君へと届け 元気玉

詩を綴るあもんにとって

やはり気になる本と言えば詩集

他人の詩を読むことによって

あこがれそして挑戦していく

そんな詩戦史は日々行われている

そうそう負けを認めてしまっては

女の子を守る男の子になれるわけはない

お金持ちのお嬢さんを守るガキ大将になれるわけない

あもんにとって

戦う権利の無い相手だって

果敢に勇敢に戦っていれば

必ず好きな子と目があっても赤くならなくなるだろう

ということで

本日の対戦作品

「祝婚歌」 吉野弘

二人が睦まじくいるためには

愚かでいるほうがいい

立派すぎないほうがいい

立派すぎることは

長持ちしないことだと気付いている方がいい

完璧をめざさないほうがいい

完璧なんて不自然なことだと

うそぶいているほうがいい

二人のうちどちらかが

ふざけているほうがいい

ずっこけているほうがいい

互いに非難することがあっても

非難できる資格が自分にあったかどうか

あとで

疑わしくなるほうがいい

正しいことを言うときには

少しひかえめにするほうがいい

正しいことを言うときには

相手を傷つけやすいものだと

気付いている方がいい

立派でありたいとか

正しくありたいとかいう

無茶な緊張には

色目を使わず

ゆったり ゆたかに

光を浴びているほうがいい

健康で 風に吹かれながら

生きていることのなつかしさに

ふと 胸が熱くなる

そんな日があってもいい

そして

なぜ胸が熱くなるのか

黙っていても

二人にはわかるものであってほしい

そして

あもんの結婚の唄

「記念樹」 あもん

記念樹を植えよう そう思いついたとき

あなたのそばにはパートナーがいた

もちろん しっかり手をつないで

スコップなんかいらない 軍手なんかいらない

手で掘ろう 手で

顔中泥んこになってもいい 手が血だらけになってもいい

できるだけ深く 深く

未来という根をできるだけ大きく広げさせるために

もちろん 手をつなぐのを忘れずに

想いという苗木は全長30cmぐらいで

見るからにか弱い 今にも倒れそうだ

その苗木に毎日水をやり 毎日話しかけよう

毎日 一分だけでもいい 話し そして微笑もう

もちろん 手をつなぐのを忘れずに

想いはやがて成長し 幸せという葉をつける

この葉は二人にとって心地よく 眩しく 時に残酷に散っていく

しかし散った葉は養分となり新たな葉をつけてくれる

その過程を自然に ごく自然に決して無理をせず 見届けるだけでいい

もちろん 手をつなぐのを忘れずに

この記念樹にはやがて赤く小さな希望という実をつけるであろう

この実を甘く育てるかすっぱく育てるかはたまた渋く育てるか

それはあなたたち次第である

早熟で味わうのか 老熟で味わうのか はたまたただ傍観することによって味わうのか

それもあなたたち次第である

大事に大事に優しくさわって育てよう

もちろん 手をつなぐのを忘れずに

この記念樹の皮が剥がれ始めたとき

あなたたちの髪も白くなっているはずである

もうここまできたら何もしなくていい

ただ記念樹のそばに二人で静かに座っておこう

そして時々そっと目を閉じ

あのころの記念樹をそっと思い出そう

もちろん 手をつなぐのを忘れずに

あもんの友達が結婚するとき

あもんは「祝婚歌」を贈った

そして次に結婚した友達には

「記念樹」を贈った

あもんの友達はいったい何を感じてくれたのだろうか

そして

「記念樹」はあもんの初入賞作品となり

生まれて初めて賞金というものを頂いた

「祝婚歌」と「記念樹」は

あもんに「伝える」ということを

芽生えさせてくれた作品であった