最果てにて | あもん ザ・ワールド

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君へと届け 元気玉

日本人は郷愁民族である

旅をする旅人は果てし無い旅を望むのではなく

家に帰ることが出来る旅を望むのである

自分の弱さに気づいた人間は

強くなりたいと願った後に

武者修行の旅に出る

いつか故郷に錦を上げるために旅に出るのだ

 

「ふるさと」が唱歌になったのもこの民族意識の現われと言える

♪兎追いし~と口ずさめば誰もが思い浮かべる景色があって

都会育ちの人でも日本昔ばなしのシーンを思い浮かべるのは

先祖から受け継いでいる郷愁思想のお陰である

「志をはたして いつの日か帰らん」と綴った高野辰之氏は

この民族意識に気づいていたのだと思う

 

町並み保存地区というカテゴリーはこの意識から生まれ

このふるさとは「日本人のふるさと」だという素晴らしい考えである

Iターン移動の増加は

まだふるさとを体験できていない人たちが

旅を終えてやっと帰ることの出来る

「日本人のふるさと」への依存願望の証である

 

ノスタルジアの風をこの民族は好む傾向にある

アーティストのベスト盤発売が日本経済の基本的存在になっているのは

曲が広げる風景で懐古の風を感じることによって

日本人は趣いて癒されるからなのである

およげたいやき君の再リリースによっても

日本人は古き良き時代の再放送を狙っていると思う

日本人が昔を古き良き時代と称するのは

今昔そして未来も永劫に変らないだろうと僕は思う

過去はどんな過去でも良き時代へと変貌しそれを懐かしむ

その繰り返しは決して後退的思想ではなく

「3歩歩いて2歩下る」という石橋を叩いてわたる精神である

この精神によってあのバブル期も古き良き時代に変貌し

未だに創られている日本の負の遺産の作品もこれを語っていると感じる

 

反省をするサルが一時期ブレイクしたのは

苦い過去を反省することによって良き時代と変換させるという

日本人が習得した技術の表れであって

ノスタルジアの風をいかに多く吹かせるかを考えた上で

「苦の消滅」の存在価値に気づいたのもこの民族の発展であろう

つらい恋も時間と言う武器を上手に使うことによって

「あのころは馬鹿だったな」という恋にまで変換させるは凄い技だ

A型の多い日本人が苦戦を強いられてきたのは

「苦の消滅」に必要となる「小さなことを気にしない性格」の術であり

しかし「嫌なことは無理やり忘れる」という荒業を習得できる

器用なA型の努力が苦の消滅を可能にした

 

サラリーマン社会によって成長した話術で

「遠まわしに言う上司の命令」というのがある

これも苦の消滅に導く技術であり

それを案じる部下の理解能力の成長にも役立った

日本文化の象徴とする京都人のひと言でこういうことばがある

「お客さん よ~知ってはりますな」ということばである

これの本意は「お客さん ちょっと喋り過ぎとちゃいますか」であり

これは相手を秒殺しない日本人の話術と言える

後に謙譲語という文学にまで発展をしたこの話術こそが

この郷愁民族の美しい文化であり

郷愁民族にしか手に入れることの出来ない術となっている

 

 

北緯24224

東経1234712

僕は日本最南端の地に立った

そこで僕は

この海を渡ろうとは思わず

「ふるさと」に帰ろうと思った

☆ 

『島国からの贈物』

『最果てにて』

 

200457日 沖縄県波照間島 本土最南端にて

 

日本最南端に立ってみても

ここにはエピローグは無かった

そこにあったのはプロローグ

なぜなら

ここに立って誰もがすることは

遥か彼方を見つめることだったから

 

最果てにて

僕は思う

これから………だろう

ここから………でありたい

全ては

最果てから

始まる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回は ついに 最終回です

 

 

 

 

 

これまで僕の駄文を読んでくださったみなさま

 

 

 

 

 

ありがとうございましたm(u_u)m

次回更新 『島国の宝物』