注:この作品は原作を元にした二次創作です。


まひろ達は朝食後、ホテルを後にし電車に乗って帰路についていた。みはりとかえでとは別行動となっていた。


ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・


もみじ「ねえ、まひろちゃん!」


まひろ「・・・・」


まひろは目をつむったまま、微動だにしなかった。


もみじ「ねえってば!! ま・ひ・ろちゃーん!!」


それでもまひろは微動だにしない。


あさひ「まひろん、もみ次郎が呼んでるぞー!!」


まひろ「・・・・」


もみじ「まひろちゃん、寝ちゃったのかな~?」


みよ「もみじちゃん、そういうときは良い方法があるのよ!!」


もみじ「それってなんなの?」


みよ「ふふ、こんな感じよ!」


もみじ「?」


みよ「あっ、まひろちゃんの足下に千円札が落ちてるー!!」


まひろ「えっ、うそ!! どこどこ?」


まひろは目をカッと見開き、足下を探し始めた。


みよ「ほらね!」

みよはもみじにウインクをして微笑んだ。


もみじ「むむむ・・・」


なゆた「みよの作戦勝ちなのです!」


まひろ「みよちゃん、どこにも千円札落ちてないんだけど・・・」


みよ「まひろちゃん、ごめんね! さっきのはウソだったんだ!」


まひろ「え~、ウソ~!!なんだよ、探して損した~! も~、みよちゃん酷いよ~!!」


もみじ「酷いのはまひろちゃんだよ!! さっきからあたしが呼んでるのに無視したりして~!!」


まひろ「あっ・・・ゴメン、もみじ。 別にわざと返事しなかった訳じゃないんだ・・・」


もみじ「じゃあ、なんで?」


まひろ「それが・・・じ、実はさっきから意識が朦朧としていて、な、なんか夢か現実か判らなくなっちゃってきちゃってぇ・・・あれ!?」


パタッ!!

まひろは横に座っていたなゆたにもたれ掛かったまま、意識を失った。


もみじ「ま、まひろちゃん、どうしたの~!?」


・・・・・・・・・


まひろ「ん!? ここはどこだ?」


みはり「わ~ん、お兄ちゃんが気がついた~!!良かった~!!」


まひろはいつの間にか病院の白いベッドに寝ていた。その脇にはみはりが座ってずっと看病していたのだ。


まひろ「みはりか、どういうことだ? 俺は確か帰りの電車に乗っていたはず・・・」


みはり「お兄ちゃん、電車内で意識不明で倒れて救急車でここに運ばれたんだよ~!!」


まひろ「なに~!! ほんとか、ウソだろ~!!」


みはり「ほんとよ~、お兄ちゃん面会謝絶で三日間も意識が無かったんだから~!!」


まひろ「マジで!!・・・それでここはどこだ?」


みはり「ここは先輩が勤めている筑波の大学病院なの。ちなみにここは個室ね。あ、そうだ早くナースコールしなきゃ!」


まひろ「おう分かった、これだな! ポチ!」


「どうされました?」

近くにあったスピーカーから看護師らしい声が聞こえた。


みはり「みはりです! お兄ちゃんの意識が戻りました!!」


みはりはまひろに近づき、手にしていたナースコールのマイクに向かって話した。


ドタドタ・・・ガチャ!!

「みはり、まひろちゃんの意識が戻ったんだって?」

みはりの大学の先輩で女医の吾妻ちとせ※が、看護師を連れて個室に入ってきた。

※なゆたの義母姉妹の姉である。


みはり「そうなんです、たった今!! わーん!! もし、お兄ちゃんの意識が戻らなかったら、私どう責任とろうかと思ってたんです! 良かった~!!!」


みはりは泣きじゃくっていた。


まひろ「みはり・・・」


ちとせ「まひろちゃん、いや、まひろ君かな・・・君は女の子になる薬を通常のスパンより大量に飲み過ぎたせいで中毒症状が出てしまったのよ。運良く意識が戻ったから良いものの、このまま意識がずっと戻らない可能性もあったのよ・・・」


まひろ「それは本当ですか・・・」


みはり「だから私が日頃から薬は用法・用量を守れって口を酸っぱく言っていたのに・・・」


ガチャ、バーン!!

個室のドアが無造作に開いた。


「まひろちゃん!!」


そこには、もみじが仁王立ちで立っていた。


まひろ「もみじ!? どうしてここに?」


もみじ「もう、まひろちゃんが心配だからに決まってるからでしょ!! ほんとに気がついて良かった~!! もし、まひろちゃんが一生目を覚まさなかったら、あたし、あたし・・・」


もみじはベッドの横で泣きながら座り込んでしまった。


まひろ「もみじ、心配掛けてゴメンな・・・」


ちとせ「なゆちゃん、あなたね! もみじちゃんに教えたのは!」


なゆた「たぶん女の第六感なのです!」


ちとせ「ぷっ、なゆちゃんにしては面白いから、まぁいいわ!」


パタパタパタ・・・

もみじに続いて、女の子達が数名部屋に入ってきた。


まひろ「かえでちゃん、みよちゃん、なゆちゃん、それにあさひまで!!」


みよ「良かった~!!」


なゆた「奇跡の生還なのです!」


あさひ「あさひまでって、まひろん失礼なんだぞ!!」


まひろ「はは、あさひ、ゴメン、ゴメン!」


かえで「みはり、良かったね!!お兄ちゃんが気が付いてくれて!!」


みはり「うん!!」


まひろ「ん!? 今、かえでちゃん、お兄ちゃんって・・・!?」


まひろの顔が真っ青になった。


かえで「実は私達、まひろちゃんの秘密、全部知っちゃたの・・・」


まひろ「え~~~!! みはり、おまえか~!!」


みはり「うん、そうよ。この子達、お兄ちゃんが気が付くまで家に帰らないってずっとこの病院に寝泊まりしていたの! その気持ちを嘘で裏切り続けるって私には出来なかったの!!」


まひろ「だからって、今までの苦労が・・・トホホ」


ちとせ「なぁ、まひろ君、良い潮時だと思うよ。治験もこれで強制終了だし、あなたの進路の問題もある。このまま一生女の子でいたい気持ちも判るけどね・・・長い間ご協力ありがとう! これでニート対策に目処が立ったよ!」


まひろ「あの、ニート対策って何ですか?」


ちとせ「知らなかったのね、今、国内にはニートが75万人もいて社会問題になっているのよ。それで政府は去年、ニート対策の実験として女の子になる薬を国家プロジェクトとして格上げしたの。実は君がその被験者第一号ってわけ・・・」


まひろ「げー!!もしかして、俺の他にも女の子になったニートがいるんですか?」


ちとせ「ええ、実は密かに募集したら大人気で、今日本では数百名規模で治験をしているわ!」


まひろ「この国の倫理観って・・・は!? まさか、なゆちゃんも・・・」


なゆた「ボクは違うのです!! ボクは歳をサバ読んでるだけの生粋の女の子なのです!」


まひろ「ほ、良かった~!! って、今さらっととんでもないことを聞いた気がする・・・なゆちゃって実は何歳?」


なゆた「それは永遠の秘密なのです!」


まひろ「だよね~・・・ま、いいか!」


もみじ「まひろちゃん! まひろちゃんの本当の姿って、前にまひろちゃんの家で見た高校の卒業アルバムに載っていたツルツル頭の人なんだよね・・・」


まひろ「ま~、今さら隠してもしょうが無いから認めるけど、そういうことになるかな」


もみじ「ということは、将来あたしまひろちゃんと結婚出来るんだよね?」


まひろ「いや、男の俺なんて、怠け者でぐうたらだし、コミ症で人見知りだし、やめといた方が良いよ!!」


あさひ「まひろん、今と変わらないぞ!!」


あははは!!


もみじ「そういうのも全部ひっくりめて、私が一生面倒見てあげる!!」


もみじ「まひろちゃん、大好き!!」


突然、もみじはまひろに抱きついた。


まひろ「も、もみじ!! ちょっ、恥ずかしいって!!」


みよ「わぁ~、これが本当の愛は勝つなのね~!!」


パチパチパチパチ・・・!!


みはり「お兄ちゃん、あと半年もしたら女の子になる薬の効き目は完全に無くなるはずよ。将来のお嫁さんを泣かすことならないように、今度はしっかりと社会復帰しようね!!」


かえで「私、みはりのお兄さんの顔は見たこと無かったんだよね~、どんなイケメンになるのか、半年後が楽しみだな~!! ウフフ・・・」


もみじ「お姉ちゃん、まひろちゃんは渡さないよ!! あたしのものなんだから!!」


かえで「わかってるって!!」


まひろ「あははは・・・(これゃあ、半年後に失望させないようにしっかりしなきゃ~!!)


みはり「これで良かったのかな・・・私のお兄ちゃん・・・」


終わり。