この物語はフィクションであり、登場する人物、地名、団体名はすべて架空のものです。車の運転は交通ルールを守り、安全運転を心がけましょう。
物語の舞台は、唐突に現在の時間軸に飛んだ。
季節は夏まっさかりの8月の平日の午前11時頃。10何年かぶりに妙義山に来た池谷だった。最愛の妻と三人姉妹の子供も一緒だ。 池谷はその後、真子と結婚し、三人の子供を授かっていたのだ。
池谷は愛車の日産セレナを妙義山頂上の駐車場に停めた。
池谷 「おーい、着いたぞ!! ミコ、ムツミ、メイ!」
ミコ 「お父さん、そんなこと言わなくても分かってるよ!! 着いたよ、ほら、起きなさい、ムツミ!!」
ミコは、隣の席に座るムツミの肩を揺すった。 メイは三列目に座っていた。 ちなみにミコは長女で中学2年生だ。 次女のムツミは小学6年生、三女のメイは小学2年生だ。
ムツミ 「うーん・・むにゃむにゃ・・ぐー・・」
ミコ 「こら、寝るな、ムツミ!!」
ムツミ 「ミコ姉、だって眠たいんだもーん!」
メイ 「あーん、ムツ姉が起きないと、あたし外出られないよー!!」
ミコ 「お母さん!! ムツミをなんとかしてよー!!」
真子 「メイ、大丈夫よ。 ミコの方からも出られるから。 ミコ、お願いね。 ムツミはお父さんがなんとかするから・・」
ミコ 「分かった・・」
池谷 「って、俺かよ!! まいったなー、ムツミは寝ぐせ、いや起きぐせが悪いんだよな~・・」
ミコは左側のスライドドアを開き、車外に出た後、自分の座っていたシートを前にずらし、三列目のメイの手を引っ張って車外に出した。
池谷は右側のスライドドアをボタン操作で開いた後、自分も車外に出た。
池谷 「ムツミ、ほら起きなさい!!」
ムツミの肩を揺する池谷だったが、余程眠いのか、ムツミは一向に起きなかった。
池谷 「参ったな~・・そうだ!!」
池谷は何かを閃いたようだった。
池谷 「あー!! あんなところにデッケー、金色のアンパンマンがいるー!!」
ムツミ 「え!? どこどこ!!」
ムツミはパッと起きて、車外に出て辺りを見回した。
ムツミ 「ホントだ!! すごーい!! でも、お父さん、あれアンパンマンじゃなくて、どっちかというとバイキンマンだよ・・」
池谷 「こら、恐れ多くも大黒様に向かって、バイキンマンは無いだろ!! バチが当たるぞ!!」
ムツミ 「だって、似てるんだもーん・・ところでお父さん、大黒様って何?」
メイ 「ムツ姉、そんなことも知らないのー!!」
ムツミ 「ウルセー!! ほんとはメイだって知らないんだろ!!」
真子 「こら、二人ともケンカしてると、ここに置いて行きますよ!」
ムツミ 「えー、待ってよ、お母さん!!」
メイ 「あたしの方がムツ姉より、足が速いもんね! べー!!」
メイは駆け足で真子に近づいて手を握った。 そして後ろを振り返って、ムツミに向かってアカンべーをした。
ムツミも負けずにメイに向かってアカンベーをした後、みんなの方へ駆け足で向かったのだった。
ミコ 「お父さん、家族みんなで出かけたの、久しぶりだよね!」
池谷 「ああ、そうだな。 お父さんも仕事が忙しくてな、なかなか休みが取れなくて、いつも悪いと思ってるんだ・・」
ミコ 「しょうがないよ、お父さんが一生懸命働いてくれるおかげで、家族みんなが食べていけるだもん」
池谷 「ウルウル・・・ミコ、おまえはイイ子だ!!」
真子 「そうよ、ムツミもメイもお父さんに感謝しなきゃ!!」
ムツミ&メイ 「はーい・・」
気の無い返事をする二人だった。
池谷は同じガソリンスタンドに勤めていたが、店長に昇格していた。
真子も妊娠する前までの一時期、同じガソリンスタンドでアルバイトをしていたのだが、真子目当ての客の数が凄かったらしい。
何はともあれ、幸せいっぱいの池谷と真子だった。
第12話へ続く。
[おまけ]
妙義山の大黒様はこちら。
