真子と沙雪こと、インパクトブルーが復活した次の日の日曜日の午後7時頃、真子は自宅のお風呂に入ってくつろいでいた。

 

真子 「ふ~・・・やっぱり、こっちは広くて足が伸ばせていいな・・・東京のアパートのお風呂は、狭くてなんかくつろげなかったもの・・・」

 

真子 「たしか・・・次のレースは6月X日よね。レース前の準備を考えても、そうね、あと1週間ぐらいはこっちに居れるかも?」

 

真子 「よし!! 次のレースの目標は・・・初の表彰台ゲーット!! ふふ・・今年はマシンの調子もいいから、頑張れば3位以内なら、きっとなんとかなるはずよね・・・でも、その前にFFの走り方をもっともっと極めないと無理かな?」

 

真子 「・・・そういえば昨日、沙雪は私に妙義山の下りの詐欺師、じゃない、えーと、そうそう下りの魔術師だったかな?の庄司さんからFF車の走りのテクを盗むんだよ!って言ってたけど、いつ頃走りに行くんだろう?」

 

プルルル・・・洗面台の横に置いてあった真子の携帯が鳴った。

 

真子 「噂をすればなんとかね!」

 

ガチャ・・スルスル・・・真子は風呂場のドアを開き、急いでバスタオルで全身をくるんた。 そして、すぐに携帯を開き、電話に出た。

 

真子 「はい、佐藤です・・・」

 

沙雪 「遅いよ!! あんたは、いつもいつも電話に出るのが遅い!! まあいいわ、真子、今何してる?」 

 

真子 「は~、やっぱり沙雪ね。 でも遅いって言われたって・・・わたし今、お風呂に入ってたんだもん・・・」

 

沙雪 「キャ~、のび太さんのエッチ!! って、あんたはしずかちゃんか!! あんたはあたしが用があるときは、いっつもお風呂に入ってるわね!」

 

真子 「も~、そんなことどうでもいいじゃない!! わたしお風呂に入るの好きなんだもん!! それより、どうしたの? 何か私に用があったみたいだけど・・・」

 

沙雪 「出たのよ!! 碓氷についにアレが・・・」

 

真子 「はぁ? アレってなに?」

 

沙雪 「エンペラーよ!! ランエボ軍団!!」

 

真子 「もう~、沙雪、悪い冗談はやめて! それは3年も前に終わったことでしょ!」

 

沙雪 「はは、ゴメン、ゴメン・・・でも、言ってることはホントよ。 真子もエンペラーのリーダーの須藤京一って奴、憶えてるでしょ?」

 

真子 「ええ、その人だったら・・・確か同じ頃、赤城のバトルで涼介さんに負けた人でしょ・・・」

 

沙雪 「そうそう、その負け犬からさぁ、今日あたしに突然電話があったのよ。 まったく、どこのどいつからあたしの携帯番号を聞いたのよ・・・ぶつぶつ・・・」

 

真子 「(負け犬って・・)あの、沙雪? で、どんな電話だったの?」

 

沙雪 「それがさぁ~、そいつ碓氷から電話を掛けてきたらしいんだけど、あたし達に挑戦状を叩きつけてきたんだよ!!」

 

真子 「え~!! 挑戦状って、今更・・・わたし、もう公道ではバトルなんかしないよ!! もし、事故でも起こしたら大変なことになっちゃうもの・・・」

 

沙雪 「それはあたしも十分に分かってるさ。 それですぐに断ったのさ。 そしたらあの野郎さぁ、「やっぱり女だな、逃げるのか?」って言うじゃない!! あたし、くやしくてさぁ~、つい、「碓氷最速のインパクトブルーを舐めるんじゃないわよ!! あたし達はいつでも挑戦は受けて立つわよ!!」って、思わず言っちゃたのよ・・・」

 

真子 「もう~・・・沙雪ったらまんまと相手の罠にハマっちゃって・・・でも、なんで今頃そんなこと言ってきたのかな? 沙雪、理由を聞かなかった?」

 

沙雪 「どうやら前に碓氷でエンペラーの下っ端とやったバトルのことが、須藤京一の耳に今頃になって入ったらしいのよ。 それのリベンジだってさ・・・」

 

真子 「・・・ねえ、沙雪・・・男の人って、みんなそういうものなのかな?」

 

沙雪 「ん? なんのこと?」

 

真子 「プライドが高いっていうか、勝ち負けにこだわるところが・・・」

 

沙雪 「それはあんたも一緒じゃない? 真子・・・」

 

真子 「えっ、あたしも一緒!? レースのことを言ってるの?」

 

沙雪 「それも当然あるけど、池谷のことよ」

 

真子 「池谷さん!? どういうこと?」

 

沙雪 「あたしはさぁ、別れた男なんてすぐに忘れて次の男に走っちゃうんだけど、真子はさぁ、なんていうか、一途のくせに今でも意地張って、まだ池谷のことが好きなのに告白しないじゃない!」

 

真子 「そんな、池谷さんに私から告白なんて・・・出来る訳ないよ、そんなの絶対に・・・」

 

沙雪 「ほうら、真子は結局ずるい女なんだよ!」

 

真子 「ずるい女!? 沙雪、わたしって、ずるい女なの?」

 

沙雪 「ああ、そうだよ。 真子のことはあたしが一番よく知ってるけど、あんたはさ、結局自分が一番可愛いのさ! 拓海君とのバトルの時だって、真面目で人の良い池谷を自分の為に利用したんだ・・・あたし後から拓海君から全部聞いたよ・・・バトルさせてもらったら、池谷と一緒にホテルに行ってもいいとか、約束したんだってね。 あたしは最初からおかしいと思ってたんだ。 そんな簡単に秋名のハチロクとバトルなんか出来る訳ないものね。 出会って間も無い男にいきなり女の武器を使うなんて、あんたも随分大胆のことをしちゃたもんだよ。 あたしは拓海君からそれを聞いたときは、ぶったまげたよ・・・」

 

真子 「・・・それはその・・・言い訳になっちゃうかもしれないけど、そのときはわたし男の人のことをよく知らなくて・・あれは池谷さんにとってもメリットがある交換条件だと思ってたの・・・今思うと池谷さんにはすごく悪いことをしたと思う。 あのときのことは、軽蔑されて当然だし、穴があったら入りたいよ・・・」

 

沙雪 「あんたね~、処女のくせに中途半端に耳年増だから、おかしなことになっちゃうんだよ・・・まあ、あたしも真子のそんな天然ぶりが気にいってるんだけどね。 で、どうするの? 池谷とやり直したい気があるの、無いの?」

 

真子 「池谷さんさえ良かったら・・・わたし、やり直したい!」

 

沙雪 「よし、分かったよ、真子!! じゃあ、今からシルエイティで碓氷へ行ってバトル開始よ!!」

 

真子 「え~!! なんで、そうなるの~!!」

 

第3話へ続く。