デング熱 .2 ( バンド ) | ZAKKI

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思い付いた事を思い付いた時に書く場所





デング熱つながりでご紹介いたします。




カンボジア生まれの女性チホム・二モルを
リード・ボーカルとするロサンゼルスのバンド




その名も “ デング・フィーバー ” ( デング熱 )











はじめて聞いたのは10年くらい前ですかね・・・




デング・フィーバーというバンドを語るには、
まず、カンボジアの 60 ~ 70年代のロック・シーンから
語っていかなくてはなりません・・・




丁度10年前ごろ、
サン・シティ・ガールズのアラン・ビショップを中心にした
仲間内で発足したサブリミナル・フリーケンシーズという
シアトルのレーベルが盛り上がっている時期があって・・・




アフリカ、中東、その他辺境のヴィンテージ・ポップを
集めたコンピレーションだったり、中国、韓国、タイ、ビルマ、
をはじめとするアジア辺境の60~70年代のロック・コンピだったり、
辺境ポップ/ロックが局地的に注目されていたんですね・・・




その時期、サブリミナル・フリーケンシーに限らず様々なレーベルが
世界各地の辺境ヴィンテージ・サウンドを次々と世に出しており、
マニア達の新たな音楽に対する食指を刺激してくれていた訳です。




60年代 ~ ビートルズを筆頭に、ストーンズ、キンクス、
アニマルズ、ザ・フーなどのビートバンドが全盛を極めていた時代、
それに呼応して日本でグループサウンズが花開いたのと同じように、
アフリカにも、南米にも、アラブ諸国にも、そして東南アジアにも、
欧米ビートバンドの影響下で産まれたロックが存在していたのです。




アジアでは、台湾、香港、韓国、タイ、ベトナム、カンボジア、
フィリピン、マレーシア、シンガポール、インドネシアなど、
あらゆる国にサイケデリックでファンキーなロックを演奏する
ミュージシャン達がひしめき合っておりました。




その中でも、特にカンボジアのロック ( 以下 カンボジアン・ロック )
だけは他国と一線を画すブッ飛び具合と、刹那さ儚さを持った
まさに異形の音楽だったのです・・・




某レコード・ショップでの紹介文は こうでした・・・





「 初期サンタナのやる気のない練習風景に
タイのモーラム系女性歌手が迷い込んだ! 」





「 ゴールデンカップスが東南アジア巡業中に
農村音楽に目覚めた! 」










これが本当に言い得て妙なんですよ。
まさに そういう音楽なのです ↓↓↓






▼ Ros Sereysothea - Chnam Oun 16






▼ Sinn Sisamouth - Prous Teh Oun






▼ Yol Aularong - Jeas Cyclo









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カンボジアン・ロックが全盛期を迎えていたのは
1970年代初頭のことでした。




が、この幸せな時代は短いものでした。




1975年、ポル・ポトがカンボジアの政権を握り
共産主義による恐怖の独裁政治を繰り広げます





反社会的な存在となりかねない知識人達を、徹底的に弾圧・殺害。
79年までの4年間に粛清されたカンボジア人は、全国民
800万人のうち140万人とも300万人とも言われてます。




この混乱の中で、欧米の影響のもとでロックを演奏していた
素晴らしい音楽家達も、残らず抹殺されてしまいました。




私が辺境国ヴィンテージ・ロックの中でもカンボジアン・ロックだけが
異形異彩な輝きを放っていると感じた所以は、
こうした残酷な歴史に隠されているのかもしれません。




ポル・ポト政権以前の僅かな一瞬、花開いた生命の力、
それこそがカンボジアン・ロックの刹那。




辺境好きな自分が こうした音に魅せられない訳がなく・・・
当然の如くカンボジアン・ロックをはじめとした辺境国の
ヴィンテージ・ロックを買い漁る日々が続きました。





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そして、
私がこうした60~70年代カンボジアン・ロックに嵌まる少し前に、
同じようにカンボジアン・ロックに魅せられた凄腕ミュージシャン達
( BECKのサックス奏者を含む ) が ロサンゼルスの
カンボジア・コミュニティで見付けたカンボジアの美人歌手を
ヴォーカルにフィーチャーし、カンボジアン・ロックを
現代に甦らせようとバンドを結成しました。




そのバンドこそが今回紹介する、
デング・フィーバー なんです。











彼らの素晴らしい所はヴィンテージ・カンボジアンロックの
演歌やモーラムにも似た独特の歌唱メロディをしっかりと残しつつ、
現代のロックや雑多な音楽性も自然に楽曲に組み込んでいる所。





おすすめアルバムは この2枚 ↓


『 Escape From Dragon House 』 ( 2005' )






『 Venus on Earth 』 ( 2008' )





基本 モンドでサイケかつダンサブルなロックなんですが
センスに溢れまくった演奏にクメール語のヴォーカルが乗るだけで
なんとも既聴感のない奇天烈サウンドになるから面白い。




何曲かピックアップしましたので是非御一聴あれ ♪





『 TIP MY CANOE 』






『 POW POW 』






『 WE WERE GONNA 』






『 TIGER PHONE CARD 』 ( STUDIO LIVE )






う~ん、やはりたまらん。




物凄く “変”




なのに楽しく儚く刹那い。




素晴らしきかな




デング熱




異形のカンボジアン・ロック ・・・ 万 歳 !!





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今回のブログで




何が言いたいのかっていうと




マスコミに踊らされて




防虫グッズを買い込む暇があったら




デング・フィーヴァーを聴いて




カンボジアン・ロックに踊らされよ




って事なのです ^




くだらねー