ボクはすっと売れ残っていたので、そろそろ捨ててもらえると希望を持っていました。

師匠の弟である店長も、「そろそろかなぁ」 とつぶやいていたからです。

 

そんなある日、お店に一人の女性が入ってきました。

少し足元をふらつかせ、疲れ切った顔をしています。

ボクは、いつも師匠の顔を見てきたからわかるのです。

(なんか、ボクと同じ気持ちなのかなぁ?)

そんな気持ちでボクは気にしていました。

 

その女性がボクの目の前に来て、じっと見つめていました。

二つの宝石のようなきれいな瞳でした。

ボクは緊張していました。

ここまでジッとみられたことがなかったからです。

ぬいぐるみは、人の心をいやす役目を持っている。

(きっとこの女性もそうなんだろうな) と確信していました。

でも、選ぶのは彼女自身です。

ボクは、静かに座って待っていました。