最初、ボクはずっと緊張していました。

いろんな人たちがお店に来て、ボクたちを見ていくからです。

みんな、笑顔で、楽しそうな声を上げていたけど、みんなボク以外のものをどんどん買っていきました。

もちろん、師匠の人形も、みんな旅立っていきました。

最初は、ボクもうれしかったです。

心の中で、「おめでとう」 と叫んでいました。

でも、ボクだけが取り残されていったのです。

誰も、ボクを見てくれないのだ。

時間がたつにつれ、師匠をお世話していた時を思い出していました。

誰かのために費やした時間が、今はとても懐かしく、楽しかったけど、今は、まったくそれができない。

 

(そろそろボクは終わりなのかもしれない)

それはそれでいい。

ボクは、本来生まれてはいけなかったから、師匠がずっと、ボクを隠してくれていました。

でも、外の世界に出た瞬間に、ボクはみんなから必要とされない存在だって教えてくれたのです。

このまま捨てられたとしても、ボクは師匠のところに行ける。

だから、少しも寂しくはないんだ。