あれからしばらくたったある日、私は夢を見た。
私は、真っ白な霧のような中に立っていた。
すると、数人の人影が浮かんでいた。
そして、何か会話をしていた。
「人は、なぜ生きることに必死なんだろう? 他の生き物は、もっとシンプルだ。 本能のままに活動している結果が生きていることになる。 動物も植物も生きることは必死かもしれないけど、人間ほど考えないだろう」
「生物は、子孫を残すということが最大かつ基本の結果として生きている。 彼らは、それ以外を求めていない。 人はなぜ、それ以上の何かを求めているのか?」
「もし、本能のまま人が生きたら、どうなるのだろうか?」
「人は、地位と愛と、金と権力と、奴隷とぬくもりを求めたがる。 特に意味のない価値を求めてさまよっている。何が楽しくて、人を陥れるのか? 何が楽しくて、人を傷つけるのか? 何が楽しくて、人を苦しめるのか? そして、なぜそれがうれしいのか?」
「生きることに価値がないことを知るのに、時間がかかったね。でも、それは仕方ないよ。 だって、価値がないと生きてる意味がないという方程式にとらわれていたから。 でも、それを思うのは、人間だけだよね。 それを捨ててしまえば、人は楽になるだろうね」
「いつも人間は、自分の価値観をぶつけてくる。 嘘も真実も関係なくぶつけてくる。 それならば、一生静かにしてもらおう。 そうすれば、私は楽になる。 でも、殺すことはできない。 もちろん、病気なども面倒である。 もっとも簡単で社会に貢献できる生き物を作れば、私は裁かれることはない。 ……となれば、あの装置を利用すれば、人間を家畜化できる。 あいつも、こいつも、総てこの社会から消せる。 しかも合法的に……」
私は静かに目が覚めた。
ゆっくり起き上がると、身体中が汗でぬれていた。