私は、必死でこみあげてくる笑いにふたをしよう と努力した。
ところが、なかなかうまくいかない。
過呼吸になりすぎたのを、息を抑えて笑いのスパイラルを、軟着陸させていった。
彼の感情を逆なでしたであろうが、私を刺そうとしない。
そもそも、ナイフを出して脅している限り、殺意が弱いものである。
殺しに来る奴は、最初から何も言わずに襲ってくる。
ここは、普段からそんな奴しかいなかった。
そのたびに、何度も銃の引き金を引き、どれだけ掃除の依頼をかけたことか。
そんな空間の中にいると、彼の存在が初々しく感じる。
私がここに来た時のことを思い出す。
「君は、私を殺したいようだが、何をしたいのかね?」
私は、気持ちを落ち着けてから話した。
「それに、君はここのルールを知らない。ナイフをしまったほうが身のためだよ」
「……なんだ? そのルールって。ドアはノックして、一礼してから挨拶をして、お偉い方に敬意を示してお伺いを立てろとでもいうのか? いいか、オレは、お前を殺して、この……」
「そのまま」
私は大声を出して銃を取り出し、引き金をひいた。
部屋中に耳を割るような音がして、硝煙のにおいが立ち込めた。
少年は固まっていた。
突然のことで、驚いていたのだろう。
私は、扉の向こう側を撃った。