男は、砂漠の大地に穴を掘り、身を潜めた。

 誰にも会わないために、その中で息を潜めていた。


 誰にも会いたくない。

 人に見られたくない。

 声をかけないでくれ。

 近づかないでくれ。


 ……このまま……

 ……このまま……

 

 誰も来ないでくれ……


 ……そして……



 男は、いつまでも耳をふさいでいた。

 幻聴から逃れようとしていた。



 ところが……





 男は、ふと気づいた。

 よく見ると、月が欠け始めていたのだ。

 男は、何かを感じた。

 「誰かに教えなければ……」

 そう呟くと、穴から抜け出して、砂漠を歩き始めた。





全   無帰




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