……く……苦しい……
……近づくんじゃねぇ……
……止めろ、来るな……
…………
俺は、ベッドから飛び起きた。
なんともいえない夢だった。
身体中が、汗で濡れていた。
俺は、大きくため息をついた。
「何で、未だにあいつが出て来るんだ?」
そう呟いた。
あれから、もう半年は経っている。
できれば、大脳新皮質の引き出しにしまいこんで、封印したいのだが、うまく脳みそが、処理してくれない。
俺は、また大きくため息をついた。
「所長、大丈夫ですか?」
うめき声を聞きつけたのか、少年が部屋に入ってきた。
ここに初めて来たときに出会った彼を、今は自分の側近として、いろいろしてもらっている。
「また変な夢ですか?」
俺は頷いた。
「また前の所長が出てきたのですね。 あんな光景を見れば、やっぱりうなされますよ」
「今回は、今までの中で最も酷かったよ」
そういうと、俺は、笑みを浮かべた。
半年前、俺は、ここの所長にならざるを得なかった。 というのも、あの野郎 (前の所長) が、目の前で自殺をしたからだ。
ここの規定では、所長の傍にいた人が、次の所長になるらしくって、それが俺だったからだって言われたんだ。
全く、意味がわからないところだ。
ただ、あの野郎が死ぬときに、かすかに呟いた言葉が、未だに忘れられない。
「もうお前に自由は無い」 って。
ところが、俺は、かなり自由なのだが。
俺は、寝室である理科室を出て、風呂に向かった。
すると、少年は夢の話が聞きたかったようだ。
「どんな夢を見たのですか? 良ければ教えてください」
「前の所長がよ、頭がかち割れた状態で、マスクメロンを持って近づいてきたんだよ」
「…………」
「それで、メロンを見た瞬間に寒気がして、思わずボコボコにしたよ」
「もしかして、メロンに腹を立てたのですか?」
「他に何かあるかい? 何もないだろ? 俺は、メロンが嫌いなの。 それだけだよ」
少年は、黙っていた。
「そういえば、両親の居場所は見つかったかな?」
「もちろんです」
少年は、 「また後ほど持ってきます」 と答えた。
今の俺のポジションは、どのように考えればいいのか解らない。 自分で何かを見つけて動いていると、それが本当の自由に思えてくる。
ただ、ここには、ブロイラー化した友達もいる。 いや、もしかしたら、すでになっていたかもしれない。 とにかく今は、新しいイベントを始めようと考えている。
「所長、資料をお持ちしました」
少年は、わざわざ理科室に持ってきてくれた。
「おう、ありがとう」
「失礼ですが、お聞きしてもいいですか?」
俺はうなずいた。
「もしかして、新しいイベントとというのは、この方たちにかかわることですか?」
「もちろんだよ」
俺は、そう告げると、最高の笑みを浮かべた。
LIVE STOCK 1st END
全 無帰
